社説 DS化粧品アジア市場への熱い視線

成熟市場となって既に久しい国内化粧品市場では、ダイレクトセリング化粧品企業がさまざまな商品・サービスを展開して マーケットの拡大に努めている。他方で、各社が力を入れているのが海外市場。 特に、アジア圏は日本製化粧品に対する信頼性は高く、積極的に市場開拓を行うケースがみられる。 海外市場を「第2の柱」とするべく、競争も日に日に過熱さを増しているようだ。
最大手のポーラは、1958年の香港進出を皮切りに海外展開を行っている。現在、中国をはじめ6つの国と地域へ展開し、 海外店舗数は日本免税店を含め56店舗。中国では2005年から事業をスタートし、主要都市に計15店舗を展開している。 近年は、越境オンラインストアをオープンし、健康食品やスキンケアアイテムを取り扱っており、アジア圏での市場拡大を図っている。 国内外で人気の「リンクルショット メディカルセラム」については、4月に免税店、 6月に越境ECでの取り扱いを開始。最高峰ブランド「B.A」は、7月に上海でブランド体感イベンドを開催し、 メディア向けのイベントも開催して現地ユーザーに訴求した。将来的には、アジア圏においては、2020年までに売上高150億円、 100店舗体制を目標としている。
ナリス化粧品は、既に海外(ベトナム)に生産拠点を有している。タイ、インドネシ、ベトナム等に展開しており、 東南アジアでの市場開拓に積極的だ。同社は兵庫県三木市にある兵庫工場敷地内に新工場を建設し、5月から稼働を開始している。 製造能力は既存の兵庫工場と合わせて3・5倍となり、国内外での需要増、特に海外需要を見込んだ大規模な設備投資を行った。 新工場は、スタッフが働きやすいさまざまな仕組みが盛り込まれており、「安心・安全」にみんなで作り上げていく工場として環境整備を行っている。 マーケットの拡大に伴いスタッフのグローバル化も進んでいることを受けて、新工場では外国人スタッフの就業に加え、 ベトナム人技能実習生受け入れも実施。多様なバックグラウンドを踏まえ、工場内の各案内にはユニバーサルデザインを採用。 さらに、さらに、日本人、外国人問わず同一賃金とするなど、製品を海外に展開するだけでなく、 企業としてのグローバル化にも積極的な取り組みを行っている。
エフエムジー&ミッション(旧・エイボン・プロダクツ)は、日本製ブランド「ミッション Y」をはじめの輸出をヨーロッパ中心に展開してきた。 同社は、昨年4月に韓国の化粧品大手・LG生活健康の傘下に入った。LG生活健康の傘下となったことで、 同社は長期的視野に基づく戦略の立案を行い、アジアをはじめとする海外展開に注力していくことを方針として示してきた。 今回、長年親しんだ「エイボン」のブランドが完全に外れることになったが、社名変更に伴う取扱製品の変更はなく、 従来通りメークアップブランド「エフエムジー」、スキンケアブランド「ミッション」を中心に展開していくとしている。 社名変更が国内外での展開にどう影響するのか注目される。