ものづくりと教育を柱に

 来年で創立40周年を迎えるワミレスコスメティックスは、サロンビジネスを軸に展開する老舗のダイレクトセリング化粧品だ。手堅い事業戦略と、2世代~3世代にわたるファンづくりによって、 「知る人ぞ知る良質なブランド」として支持を集めてきた。特に、ものづくりへのこだわりは、販売員・愛用者の輪のベースとなっている。
 同社は、9月30日~10月2日にイタリア・ミラノで開催された第回国際化粧品技術者会連盟(=IFSCC)中間大会において、口頭発表を行った。 内容は、美容成分の肌への浸透性・送達性を追求した製剤化技術「カチオン化ベシクル」について。IFSCCは、世界中の化粧品技術者・研究者にとって最も権威のある学会と知られている。 今回、日本企業で口頭発表を行ったのはワミレスをはじめ6社。IFSCCは発表できるだけで特別な意味をもち、その企業や製品、技術に付加価値をもたらすという。 ワミレスが発表した製剤化技術「カチオン化ベシクル」は、これまでに複数の学会で発表済みだが、成果が評価されてIFSCCでも発表することになった。
 この技術を用いたクリームは、従来品に比べて保湿の持続性、肌への浸透力ともに優れていることが分かった。創立35周年の2015年に限定品として上梓した「ワミレス ザシリーズ」には、 「カチオン化ベシクル」を用いた技術が導入されており、好評を博した。節目の年である創立40周年の2020年には、同技術を用いた新アイテムを投入する予定だ。 近年、化粧品の機能性向上は目を見張るものがあり、各社が最新の研究成果をフィードバックした高機能・高付加価値アイテムを次々と投入している。ブランドのファンになる理由はさまざまだが、 最も多いのは「気に入った化粧品」であること。機能性強化は、化粧品企業にとって永遠の命題であるが、ワミレスではエビデンス重視の製品開発によって品質向上を図っている。
 同社はまた、販売員の美容技術のレベルアップにも力を入れている。サロンビジネスが一般的なものとなり、競合相手が増加している現在、 サロンスタッフの技量も化粧品の品質と同等以上に重要さを増している。ワミレスでは、美容知識・技術の習得・向上に必要なさまざまな講習・セミナーを用意しているほか、 技術の研鑽を競い合う美容大会なども定期的に開催している。その上で、同社の教育システムで最も特徴的なのは、販売組織の内側だけでなく、外側でその腕を披露する機会を提供している点にある。 選抜メンバーで構成される「ワミレスラスティングビューティー(=WLB)」は、これまでに数々のイベント・ショーのバックステージを担当し、モデルのメイクなどをサポートしてきた。 スキンケアの知識も豊富なメンバーは、他のチームとの差別化になっているという。WLBへのメンバー入りは、特に若い販売員の大きな目標となっており、 組織全体のモチベーションアップにもつながっている。
 老舗企業として、高品質の製品と教育制度を2本柱に、次の節目に向けて国内外での事業展開を加速させているようだ。