消費者志向自主宣言への取組みを

  ブランドの強化・刷新は、ダイレ クトセリング企業にとって重要な施 策だ。特に、ブランドを刷新する場 合、そのブランドの〝強み〟を活か して、既存顧客のニーズをカバーし つつ、新規ユーザーにも訴求できる ような内容が求められる。老舗化粧 品企業のナリス化粧品では、同社の 化粧品の最大の強みである〝ふきと り〟を活かしたブランド戦略をこの ところ強化している。「ふきとり化 粧水」カテゴリーにおいて、同社は 国内トップシェアを 確保しており、 主力のダイレクトセリングをはじ め、さまざまなチャネルでナリスブ ランドの原点を訴求する動きが活発 になっている。
 1月21日に発売した「ルクエ」は、 3度目のリニューアルを果たし基幹 スキンケアブランドだ。他の主力ラ インとの違いは、「ルクエ」がナリ スブランドへの〝入り口〟だという こと。購入しやすい価格帯と機能性 を武器に、セルフエステサロン「デ ・アイム」と新規ユーザーを獲 得す る両軸と位置づけられている。今回 のリニューアルでは、〝入り口〟ブ ランドとしての分かりやすさを強化 するとともに、ナリス化粧品の強み である〝ふきとり〟にフォーカスし た戦略を採用した。同社の美容理論 の根幹を成すふきとり化粧水「コン ク」には、オリジナルのふきとり成 分である「純化白花豆エキス(ベニ バナインゲン種子エキス)」を新た に配合。使い心地は、女性自身が 「自分の肌の変化にしっかりと気づ き、必要なお手入れを適切に行 う」 という基本に立ち戻り、正しい使い 方や肌の変化を感じやすさを重視し た。また、新規ユーザーへのアプロ ーチとして、各製品の紹介には「ふき とって、つるつる。」 (コンク)、 「ごく ごく、満たす。」 (ローション)、 「すー、 ぴたっ。もちもち肌に。」 (ミルク)と いったオノマトペを用いることで、 現場で難しい説明を行わなくても使 い心地や機能性などの〝実感ポ イン ト〟を伝えられるよう工夫したとい う。多くの化粧品メーカーでは、新 規成分などの特徴を細かく紹介する ことで差別化を図ろうとしている が、果たしてそれが消費者に求めら れているのか。従来の手法を顧みた 結果、近年トレンドの叙情性重視の マーケティングで訴求することにな ったという。「ルクエ」というブラ ンドは、リニューアルの度にガラリ とイメージを変えてきたが、今回は マーケティングについても大きく舵 を切った点が特徴だ。
 〝ふきとり〟の訴求は、他ブラン ドでも積極的に行っている。一般流 通向けの人気ブランド「ネイチャー コンク」は、1本で何役もこなす多 機能アイテムをラインナップするコ スパの良いブランドだが、3月に新 アイテムとして「ふきとり化粧 水シ ート」を発売する。近年、酷暑とな ることが多いサマーシーズンにおい て、外出先での汗ケアのニーズが高 まっていることを受けて、シートタ イプの化粧水で手軽に〝ふきとり〟 を実感できるよう訴求していく。
 最新のトレンドやニーズを取り入 れて、美容理論の原点である〝ふき とり〟にフォーカスすることで、既 存・新規ユーザー双方にアピールで きるブランドとして育てていくのが 同社のブランド戦略のようだ。