コロナ問題 政府の経済対策、待ったなし

  新型コロナウイルスの問題が 世界全体を覆う中、国内のダイ レクトセリング業界も営業活動 の縮小・自粛、イベントや各種 催しの延期・中止を余儀なくさ れている。今号3面でまとめた ように、対面の業務・営業をオ ンラインに切り替えたり、キャ ンペーン期間の延長といった特 例措置に着手する会社も少なく ない。が、感染拡大に収束の気 配が窺えない中では限界を感じ ることも事実。国民の生活の保 障と中小事業者の資金繰り支 援、そして抜本的な経済対策を 早期にまとめ、実行に移すこと が政府に求められる。
 ウイルス問題がDS業界に影 響を及ぼした事例としては、09 年の新型インフルエンザ流行を 記憶する関係者もいるだろう。 当時もイベントの中止や殺菌・ 除菌製品の特需を生じた。ただ、 今回のインパクトは11年前の比 でない。日本を含む世界全体が ウイルスとの総力戦を迫られて おり、影響の長期化が避けられ ない見通しだ。
 政府がこれまでに打ち出した 政策は、一斉休校等で自宅を離 れられない保護者に対する休業 補償、中小事業者に対する資金 繰りの支援など。3面の調査で は、製造・物流の委託先が休校 の影響で人員確保が難しいとい うケースも出ており、休業補償 が一助となるよう期待される。  一方、抜本的な経済対策も不 可欠。3月23日時点で政府は事 業規模30兆円超、財政支出15兆 円超を想定しているとされ、即 効性が期待されるアイデアには 国民への現金給付や商品券配布 が出ている模様だ。
 現金給付は08年のリーマンシ ョックの際、翌年の春より、国 民1人あたり1万2000円の 定額給付を行った先例がある。 が、仮に今回も同様の選択をし たと して、リーマン時のような 給付までのスピードと金額では 現状の対策に追い付かないこと は容易に想像できる。そもそも リーマン時の経済対策は、財政 支出こそ今回の想定並みの額だ ったが、事業規模は約56兆円と 倍近かった。すでに政府内から は当時を上回る規模を求める声 が出ているという。事態の深刻 さを鑑みれば当然の意見であ り、思い切った予算措置が必要 だ。
 また報道によれば、政府は消 費税減税に消極的姿勢を取る模 様。第3四半期(年~月) のDS各社の業績は明らかに増 税を理由とした苦戦が窺え、ウ イルス問題が浮上する前の1月 の実績も前年ほどに振るわない という声を取材で聞いていた。 配布の手間を必要としない分、 消費税に限らず法人税、所得・ 地方税、個人事業税などでの減 税措置もおおいに検討されてし かるべきだろう。
 まずは感染防止のため医療分 野への資材投入、予算措置が急 がれることは論を待たない。そ のうえで早期の経済対策が待っ たなしだ。