加速する業界のオンラインシフト

 日に日に深刻さを増す新型コ ロナウイルス問題を受け、ダイ レクトセリング業界で「オンラ インシフト」の動きが強まって いる。3~4年ほど前から、多 くの会社でテレビ会議システム のZOOM等を使ったミーティ ングやウェビナーが珍しくなく なっていたところ、コロナ問題 でリモートワークや外出自粛の 動きが一気に拡大する中、以前 からのオンラインシフトの流れ をさらに加速させている。
 訪販ニュースは3月4日~16 日にダイレクトセリング各社の コロナ対策の状況を調査。社 の具体回答を独自に集計した結 果、リモートワークや営業活動 の縮小・自粛にともない「オン ライン会議・セミナーの実施」 に着手した企業は社で、この 時点で4割に達していた(4月 2日号3面参照)。
 それから1カ月を経過し、4 月7日には政府から緊急事態宣 言が出され、対象となった7都 府県が外出自粛要請等を開始。 リモートワーク等に踏み切る会 社の数をさらに増やし、社内打 ち合わせ等の業務のオンライン 化も否応なく進められている。
 MLM業界では、会員向けの セミナーやイベントを中止し、 予定していた内容をライブ配信 に切り替えるケースが飛躍的に 増加。こちらはZOOM等のテ レビ会議システムだけでなく、 Youtubeやインスタグラ ムといったWEBサービスを使 って、オンラインにまだ不慣れ な顧客にも間口を広げる。テレ ビショッピングのWEB版とな る「ライブコマース」を手掛け る会社も、今後増えてくると予 想される。
 また、緊急事態宣言を境に、 多くの会社がショールームやサ ロンの一時休業に踏み切り、店 頭における製品注文や書面申請 の受付も停止。WEBサイトや アプ リを介した手続きの呼びか けを始めている。注文や申請の オンラインシフトも、従来から 大きな流れとして存在していた が、コロナ問題でさらに加速す ることになりそうだ。
 もちろん、オンライン化が難 しい業務やコンテンツも考えら れる。例えば、ロールプレイ形 式やチーム形式で行う社員研 修、販売員トレーニングなどは、 皆で集まって対面で行うほうが おそらく、成果に結びつきやす いだろう。
 ただ、今回の事態はもはや、 長期化を避けられないと誰もが 考えているはず。オンラインシ フトをできそうな業務について は、今後さらに試行錯誤が欠か せない。
 そして政府に求められるの が、このようなオンラインシフ トの動きをサポートする予算措 置や取り組み。厚生労働省が2 月より、「働き方改革推進支援 補助金」の中で中小事業者向け にリモートワーク導入費用の半 額を補助する制度を始めている が、より使いやすい仕組みの整 備が必要だ。