訪販協 会員から処分を出さない為に

 日本訪問販売協会は、ダイレ クトセリング(訪販と連鎖販売 取引)業界の自主規制団体とし て、又、消費者救済基金の運用 主体として、傘下の正会員から 行政処分される企業を出さない 体制を構築すべきだ。先ず、求 められるのは会員に係わる問題 情報の収集の網を広げると共 に、当該情報の迅速・厳正な確 認と、それに基づく踏み込んだ 是正指導を行うことである。
 本紙既報のように、今年3月 に行政処分(15ヶ月の業務停止 命令等)を受けた正会員で住宅 リフォーム等を展開するメノガ イアの場合、国民生活センター のPIO―NETに登録された 相談件数は、2017年度が1 10件、2018年度が78件、 2019年度(2020年3月 11日まで)が31件であった。
 この間に、訪販協の消費者相 談室に寄せられた正会員の「問 題性あり(違法性を伴う)」相 談の中で「住宅リフォーム」に 係わる件数は、2017年度と 2018年度が共に2件、20 19年度は12月までで6件であ った。これらにメノガイアに係 わる相談が含まれているか否か は開示されていない。仮に、含 まれていたとすれば、訪販協の 是正指導の妥当性が問われるこ とになる。他方、含まれていな かったとすれば、訪販協は同社 の問題性を把握できなかった訳 で、指導責任は免責されよう。 しかし、正会員の問題行為を把 握できずに見逃していたという ことについては、情報収集に瑕 疵があったと言わざるを得ま い。その脆弱な情報収集力は、 自主規制団体としての機能喪失 に繋がり得るものであり、その 強化は将に喫緊の課題である。
 消費者行政は着実に強化され ている。その中で中核を担って いるのが、都道府県立及び市区 町村立の消費生活センター(消 セン )である。これらの消セン は、それぞれの都道府県内人口 の90%以上のカバーを目指して おり、地域内で発生する消費者 トラブルを漏らさず収集する体 制を構築しつつある。これらの 情報は、国センのPIO―NE Tに登録され、消費者行政にフ ルに活用されている。
 これに対して、訪販協の消費 者相談室に寄せられる正会員に 係わる「問題性あり」相談は、 2017年度が38件、2018 年度が74件、2019年度(2 020年12月まで)が38件だ。 極めて限定的である。この背景 には正会員の「問題性あり」相 談の多くが消センに吸い上げら れ、訪販協の与り知らないとこ ろで法的措置に繋がっていく。 このような事態を回避するため には、訪販協が国センをはじめ、 全国の主要な消センと情報交流 ・連携を深め、正会員に係わる 問題情報の収集・確保に努める 必用がある。勧誘行為等に問題 があると見られる会員は教材販 売を中心に現在、なお散見され る。厳正な是正指導が求められ る。