DS化粧品 〝コロナとの共生〟打開策は

 〝コロナ禍〟によって、過去 最大の落ち込みが懸念されてい る日本経済だが、ダイレクトセ リング化粧品市場でもその影響 が徐々に明らかになってきた。  DS化粧品最大手のポーラ・ オルビスホールディングスの2 020年12月期第1四半期は、 連結ベース売上高が前年同期比 17.4%減の433億1600 万円、営業利益が同70.4%減 の20億600万円と厳しい結果 となった。主要事業であるビュ ーティケア事業は、売上高が同 17.8%減の420億8200 万円で、このうちポーラブラン ドの売上高は同21.7%減の2 50億5700万円。〝コロナ 禍〟によってインバウンド需要 が減少したほか、バイヤーの減 少が響いた。国内では外出自粛 による消費の落ち込みや百貨店 の営業時間短縮が響いた。販売 チャネル別売上をみると、BD (ビューティーディレクター) による委託販売チャネルが前年 同期比24.6%減、海外が34.5%増、百貨店・BB・EC が35.0%減。国内チャネルが 軒並み売上を落としている中、 海外がプラスに転じているが、 これは中国市場での売上が3月 から復調傾向にあるためだ。緊 急事態宣言下で経済活動が大幅 に縮小した4月~5月の国内チ ャネルでは、さらに厳しい状況 も予想される。
 シーボンの2020年3月期 は、連結ベース売上高が前期比11.5%減の111億100万 円、営業損失3億1800万円。 減収は〝コロナ禍〟だけでなく、 昨年相次いだ台風などによる自 然災害、消費増税といったマイ ナス要因が重なった結果による ものだ。同社は緊急事態宣言下、 一 時的にほぼすべての直営店舗 を臨時休業した(5月11日から 順次再開)。このほか、アイビ ー化粧品の2020年3月期 は、売上高が前期比14.9%増 の38億3200万円、営業損失 5400万円と2ケタ増収を達 成。これは、2019年3月期 において、強化製品の販売が予 想を大幅に下回り不振となった ものが、販売組織における在庫 調整が進み、販促につながった ことが大きい。
 ダイレクトセリング化粧品の うち、サロン展開を行っている 企業では、サロンにおける施術 の中止や一部制限を行っている ケースがみられる。また、サー ビスを既存顧客に限定し、新規 の受付を中止するなど、事業活 動に制約を設けながらリピート 顧客への販売などを行ってき た。新規顧客へのアプローチが 困難という点が、大きなネック になっている。
 今後、新型コロナウイルスの 感染拡大が抑制されれば、これ らの制限も徐々に緩和される見 通しだが、活動再開が本格化す るにはある程度の時間を要する とみられる。 〝コロナとの共生〟 が不可欠な状況下で、各社がど のような挽回策を打ち出してく るか、注目される。