急務となるコロナ下の事業再構築

 5月25日夜、新型コロナウイ ルス問題にともなう政府の緊急 事態宣言が首都圏の4都県と北 海道で解除された。前週までに 解除されていたその他の府県と 合わせて、全国で宣言が解除さ れた形だ。しかし、ウイルス問 題が目に見えて収束したわけで はなく、ソーシャルディスタン シングに則った日々の感染対策 は不可欠なまま。以前のような 日常生活に戻ることは当面難し い。ダイレクトセリング業界も、 コロナ下における新たなビジネ スモデルの構築に急ぎ、取り組 んでいかざるを得ない。
 5月末までの予定だった宣言 だが、新規感染判明者数に一定 レベルで減少が確認されたこと などを理由に1週間早く、解除 された格好。業界でも本格的に 営業を再開するところが徐々に 増えてくると見られる。が、先 行解除されたエリアで集団感染 が散発しているニュースからも 窺えるように、感染リスクと隣 りあわせの日々は今後も続く。 新たな原則のもと、これまでと 異なる事業のスタイルを追求し ていく必要がある。
 その典型例がショールームや サロン等の運営だろう。宣言が 出る以前から、マスク着用の奨 励・義務化、出入口での手指消 毒や検温、テスター提供やカウ ンセリングの休止、頻繁な換気 といった対策が取られていた が、営業再開後も続けていくと ころが大半ではないか。夏が近 づくにつれ、マスク着用などは 敬遠されるかもしれないが致し 方ない。接客カウンターに透明 な仕切りを設置するところも増 えると考えられる。顧客の心象 を考えればやはり避けたいとこ ろだろうが、状況が状況だけに、 そのほうが安心して来場しても らえそうとも言える。
  サプライチェーンの再構築も 急務。在庫ロス低減等の理由か ら回転率を高くする管理が常識 とされてきたが、一時的に品不 足に陥る事例が頻発したことを 考えれば、ある程度の商品量や 原料・資材を抱えることの重要 性が高まったと言える。調達ル ートを複数ライン確保するとい う選択肢もあるだろう。川上の メーカーサイド、川下の物流サ イドとの調整も必要なため、難 しいテーマとなる。
 そして、コロナ下で急速に進 んでいる販売現場のオンライン シフトについても、よりベター な手法を模索していく必要があ る。対面営業・勧誘の補完ある いは代替がどこまで可能なの か、法的リスクに抵触するおそ れをどうやったら払拭できるの か、課題は山積している。
 また、いずれも業界にとって は大きな変革となり、民間レベ ルの努力だけで成し遂げられる とは考えにくい。政府は、「新 しい生活様式」を目安に示して 済む話では全くない。経済支援 の継続が不可欠であり、場合に よってはダイレクトセリング業 界を対象とした規制緩和も検討 すべきだろう。