コロナ禍で打ち出す「次の一手」

 ダイレクトセリング化粧品最 大手のポーラが、次の一手を打 ち出した。最高峰ブランド「B .A」を9月から順次リニュー アルを果たし、コロナ禍で冷え 込んだ消費を喚起して巻き返し を図る構えだ。
 「B.A」と言えば、198 5年に誕生したポーラを代表す るスキンケアブランドだが、認 知度が大きく上がったのは20 10年のリニューアルがきっか けと言える。機能性もさること ながら、大物女優、人気女優を 起用した大々的なプロモーショ ンと、美容に高い関心をもつ大 人の女性をターゲットとしたデ ザインによって支持を集め、今 では全世界で600億円規模に 迫る一大ブランドにまで成長し た。近年は、「B.A」の名を 関したメークアップラインなど も展開しており、ロイヤルユー ザーの獲得を進めている。
 コロナ禍の中で大幅刷新を行 う新「BA」は、新規ユーザ ーを確保する重要な役割を担っ ている。このため、ポーラ・ザ ・ビューティー(PB)などの 拠点で提供するエステメニュー や、やオンラインカウンセリン グと連動して、 〝ウィズコロナ〟 時代の販促活動を盛り込んだの が特徴だ。また、新「B.A」 のテーマは「ネットワーク」だ が、これには、肌に備わってい るハリ感を与える化粧膜を形成 してエイジングケアをサポート するという機能的な意味合いが ある。加えて、コロナ禍でさま ざまな制約を受けている社会経 済活動や、〝分断の時代〟とも 言われる現在の世界情勢に対し て、社会が求めているものとい う意味も含まれているという。 2017年に発売した「Vリゾ ネイティッククリーム」では 「共創」を テーマとしていたが、 これは、多様化する価値観を背 景に、化粧品に新しい付加価値 を与えることで、肌も使用者本 人と販売員、メーカーが共に作 り上げるという狙いが込められ ていた。化粧品企業には、化粧 や美容を通して文化の一端を担 っており、社会の変化とともに 美容に求められるものも多様化 していくという理念がある。新 「B.A」は、今の時代に求め られている〝1つの答え〟とい う位置づけだが、これがコロナ 禍を生きる現代の女性にどう響 くのか。
 業績面では、直近の2020 年12月期第1四半期は、「PO LA」ブランドの売上高が前年 同期比21.7%減の250億5 700万円、営業利益が同71.5%減の15億9200万円と苦 戦した。コロナ禍によって国内 外で営業活動が大幅に制限さ れ、特にPBやエステツイン、 ビューティーディレクターによ る委託販売チャネルは売上が同 24.6%減と大きく減少した。 〝第2波〟も不安視されるコロ ナ禍の見通しは未だ不確実な部 分が大きいが、新「B.A」を 基軸に後半戦で盛り返せるの か、注目されるところだ。