横流し問題に切り込むアムウェイ

  日本アムウェイが6月、Am azonに公式ストアを開設し た。最大の目的は、会員のリク ルートや自社のサイト、店舗で リーチできない非会員をつかむ こと。一方で、Amazonの マーケットプレイス(以下MP) に出回る横流しの転売品に対 し、抑止効果を働かせたいとの 狙いも垣間見える。
 公式ストアでは、健康食品ブ ランド「ニュートリライト」か ら品を販売。主力の「トリプ ルX」をはじめプロテイン、C oQ10などの人気アイテムを並 べ、今後はさらに増やす。
 売価は標準小売価格だが、会 員から製品の「パーソナルリン ク」と「クーポンコード」の提 供を受け、リンク経由でコード を入力して注文すれば%の割 引が適用される。注文は、クー ポン等を提供した会員の販売実 績にカウント。購入者と紹介者 の双方にメリットがある。
   また、同社のショッピングサ イトで買う場合と異なり、購入 者の情報は同社に渡らず、製品 もAmazonの配送センター から配送される。このため、M LMに抵抗をもつ層などへのア プローチにつながるとも期待す る。
 一方、業界関係者には周知の 通り、AmazonのMPでは、 横流しされたMLM各社の製品 が多数の買い取り業者の手で出 回っている。アムウェイの製品 も例外ではない。公式ストアの 製品販売ページでは、MPへの リンクである「こちらからもご 購入いただけます」は表示され ない仕様となっているものの、 合わせ買いを勧める「よく一緒 に購入されている商品」や「こ の商品を買った人はこんな商品 も買っています」では、MPの 出品製品が表示される状況とな って いる。
 しかも、MPでの売価は会員 価格相当か、それ以下の値段で ある場合がほとんど。公式スト アでクーポンを使うより安く買 えてしまうだけでなく、会員と なって買うよりお得なケースが 珍しくないため、MLM各社か ら目の敵とされてきた。
 ただ、当然、こういった事情 は同社も踏まえた上で出店。公 式ストアは「新品の製品を安心 してお買い求めいただける唯一 の正式取扱店」と位置づけ、会 員とのパートナーシップの下で 「転売による流通量の減少に努 めていく」方針を示す。
 また、製品販売ページの「評 価」欄には、過去にMP出品製 品を購入したユーザーのレビュ ーとして、「賞味期限が1月く らいしかないものが送られてき た」といった横流し品への不満 や、「朝の体の軽さが全然ちが う」「本当にいいもの」といっ たポジティブな感想が並ぶ。国 内EC最大手の売り場に並ぶコ メントは、今や無視できない周 知効果をもつ。公式ストアの試 みは、MPの転売品によって蓄 積されてきたコメントを〝武器〟 に転換する意図もうかがえる。