〝ウィズコロナ〟のビジネス構築を

  本紙がこのほど実施した「第 68回ダイレクトセリング(DS) 実施企業売上高ランキング調査 では、調査企業123社の小売 ベースの売上高総額は1兆46 83億7500万円となった。 前期と比較可能な115社の総 売上は1兆4268億1800 万円で、前期比で2.2%減と なった。
 売上高総額が2%以上の減少 となったのは、2015年12月 の第59回調査以来だ。同調査で は、前半戦で消費税率の引き上 げに伴う駆け込み需要の反動 が、大手をはじめ業界全般に波 及したほか、比較的好調な企業 が多い太陽光発電システムの分 野において、需要が一巡したこ となどが主な要因となった。そ の後、市場は増減を繰り返しな がら推移し、ここ数年はさまざ まな企業で業態改革の成果がみ られるようになっていたが、今 調査では、インバウンド需要の 一服感や、新型コロナウイルス の感染拡大に伴う社会経済活動 の停滞が各社の業績にも大きな 影響をもたらしたようだ。
 大手企業で落ち込みが特に大 きかったのは、化粧品最大手の ポーラで、インバウンドの低迷 や国内での新規獲得の伸び悩み が響いた。直近の2020年 月期第1四半期では、コロナ禍 の影響も大きく、「POLA」 ブランドの売上高は前年同期比 21.7%減の250億5700 万円となった。DS化粧品では、 ノエビアが直近の2020年9 月期第2四半期では同5.7% 減。ナリス化粧品では、202 0年3月期が前期比3.5%減、 エフエムジー&ミッション(旧 社名・エイボン・プロダクツ) は前期横ばいとなったが、20 20年上半期(1月~6月)は 15% 減。シーボン(小売ベース 19位)は3月決算が同11.7% 減となった。
 化粧品系企業をはじめ、ML M企業などでも、近年はサロン やショールームなどの拠点を設 けてカウンセリングやエステ、 販売を行うビジネスモデルの導 入が盛んだが、コロナ禍でサロ ンの臨時休業を余儀なくされ、 対面販売自体が困難になったこ とが大きく響いた。現在は、感 染防止対策を講じながら営業活 動を再開。さらに、オンライン カウンセリングなどの非接触型 サービスによる〝ウィズコロナ〟 時代に適応したビジネス構築を 進めている。
 オンラインセミナーや動画配 信といったデジタルツールの活 用によって、従来は難しかった 遠隔地の顧客にもアプローチし やすくなる一方、デジタルツー ルへの慣れない販売員・顧客も 少なくない。特に老舗の場合、 シニア世代以上の顧客も多く、 どのような非接触型施策が望ま しいのか、試行錯誤が続く。コ ロナ禍の収束は未だ見通しがつ かないが、〝ウィズコロナ〟の 文字通り、感染リスクを前提と した社会経済活動のあり方が求 められている。