コロナ下の公的支援、さらなる拡充を

  新型コロナウイルス問題にと もない、4~5月の緊急事態宣 言や〝3密〟回避の要請によっ て営業の自粛を余儀なくされた ことで、膨大な数の事業者が苦 境にたたされている。ダイレク トセリング(DS)も例外では なく、本紙が実施した業界アン ケート(8月6日号4、5面) では、4~6月の売上が前年を 下回った企業が5割に達した。 自助努力だけで追い付かないこ とが明白な以上、助成金の迅速 な給付をはじめとした公的支援 制度のさらなる拡充が早急に求 められている。
 アンケートでは、国や自治体 による支援制度の利用状況につ いて調査(8月13日号1面)。 複数選択式で聞いた結果、休業 手当等の一部の助成を受けられ る「雇用調整助成金」を有効回 答企業の26%が利用していた (今後の利用予定含む)。
 同助成金は、コロナ問題にと もなう特例措置により、雇用維 持を目的として中小企業が利用 を申請した場合、助成率は10 0%、上限額は1人あたり1日 1万5000円に引き上げられ ている。このため、中小の多い DS業界でも利用率を高めたと みられる。
 アンケートでは、営業・販売 活動の自粛・縮小を当面続けざ るを得ないとした回答が3割弱 に達した。特例措置は9月末ま でとされている。が、7月以降 の感染者判明数が宣言発動中の 増加傾向をすでに大きく上回っ ていることも踏まえると、特例 期間の延長もおおいに考えられ るべきだろう。
 また、ひと月の売上が前年よ り50%以上減った場合に利用で きる「持続化給付金」も、利用 率は有効回答数の11%に達し た。通常の事業環境であれば、 単月であっても売上が半減する ような事態は、まずもって考え に くい。コロナ下の今がどれだ けの異例な状況であるかをまざ まざと見せつけられる。
 給付金の支給上限額は中小企 業で200万円。個人事業者等 も100万円を上限に支給を受 けられる。訪問販売の委託販売 員や連鎖販売取引のディストリ ビューターといった、業界を支 える現場に対しても給付金の迅 速な支給が求められる。
 さらに、コロナ下においてワ ークライフバランスという課題 が改めて浮上する中、子育て関 連の支援制度の充実も不可欠と 言える。
 記述回答では、自宅で子ども を世話する必要に迫られた従業 員が年休の有無にかかわらず有 給休暇を取得できるように企業 を助成する「小学校休業等対応 助成金」を3社が利用。「ベビ ーシッター派遣事業割引き券」 「母性健康管理措置による休暇 取得支援助成金」も各1社が利 用していた。現場の販売員、デ ィストリビューターの過半数を 女性が占める業界だけに、これ ら支援の拡充を行政に働きかけ ていくことも必要だろう。