ウィズコロナのサロン構築こそ

 1面で報じているように、ダ イレクトセリング(=DS)化 粧品分野でも、新型コロナウイ ルスの感染拡大による業績面へ の影響が明らかになってきた。 本紙が2020年7月に実施し た「第68回ダイレクトセリング 実施企業売上高ランキング調 査」のうち、化粧品を主力商品 とするDS企業40社の直近実績 をみると、増収が10社、横ばい が16社、減収が12社となった。 これらの中で、ポーラやノエビ ア、シーボンといった上場企業 の4月~6月の実績をみると、 下げ幅にバラつきはあるもの の、ほぼすべての企業が前年同 月比マイナスとなった。
 周知の通り、近年のDS化粧 品市場では、エステサロンや地 域密着型の店舗といったビジネ スモデルを展開しているケース が多く、前出の40社では5割近 くがサロンビジネスを導入して いる。社会構造の変化によって、 地域に密着した拠点でカウンセ リングやエステ、販売を行う業 態は、従来型訪販のノウハウを 活かしながら事業の透明性を確 保できる手法として定着してき た。消費者にとっても、気軽に 美容や健康について相談できる サロンは身近な存在となってき た。コロナ禍によって、こうし た関係性は一変することにな る。サロンという密閉した空間 で接客を行うスタイルが、感染 リスクが高いと判断され、緊急 事態宣言前後では、サロンを展 開しているほぼすべての企業が 店舗の臨時休業・営業時間の短 縮を余儀なくされた。現在、十 分な感染防止対策をとりながら 営業を再開しているが、予約数 や施術台数に制限を設けるケー スが大半だ。
 酷暑の夏を迎えたが、新規感 染者数は依然として増加傾向に あり、収束の目処は立っていな い。 冬には再び大規模な感染が 懸念されており、いち早いワク チンや治療薬の開発が望まれて いる。他方で、DS化粧品各社 は、〝ウィズコロナ〟の日常に 合わせてサロンビジネスの改革 を急いでいる。ポーラは、オン ラインカウンセリングをスター トし、9月までに1000のシ ョップで導入する予定だ。これ までサロンで行っていた事前カ ウンセリングなどを非接触型に 切り替えることで、感染リスク を下げつつ、サービスの質を維 持・向上させる狙いだ。7月に 創立周年を迎えたワミレスコ スメティックスでは、ホームペ ージやSNS、動画配信を積極 的に活用し、販売員教育や営業 活動の支援を行うほか、エフエ ムジー&ミッションは、将来的 にはカタログ頒布とデジタルツ ールの融合も視野に入れて、新 しいスタイルの構築を目指す構 えだ。
 〝ウィズコロナ〟の時代であ っても、対面販売のニーズは決 して少なくない。デジタル施策 を活用しながら、対面方式と非 接触方式を両立させることが当 面の課題と言えよう。