日々変化するニーズを掴め

  長期化するコロナ禍を受け て、日常生活においてウィズコ ロナに合わせた様式が定着しつ つある。消費者の価値観やニー ズも、コロナ前とは異なる内容 へ変化がみられるようになって きた。その代表例が働き方であ ろう。テレワークが可能な業種 では導入が進み、ワークライフ バランスを見直す動きがみられ る。同時に、オンライン会議な ど、非接触型の打ち合わせなど も増加し、それに合わせた新し い商品やサービスも散見される。
 ダイレクトセリング化粧品市 場でも、こうした社会の変化を 反映した取り組みがみられる。 ナリス化粧品が先ごろ実施した コロナ禍におけるテレワークや オンラインメークに関する調査 によると、テレワークをしてい る女性は約4割で、その際にメ ークをしている女性は約7割に 上った。一方で、オンライン会 議などに合う「オンラインメー ク」については、6割が「自信 がない」と回答しており、ウィ ズコロナの生活様式に合わせた メークの提案が求められている ことが分かった。
 コロナ禍下の化粧品市場で は、生活必需品とも言えるスキ ンケアは消費の落ち込みの影響 を受けながらも、根強いニーズ がある。メークアイテムについ ては、外出自粛やマスク着用生 活によって、口紅の需要が下が った半面、アイメーク関連のニ ーズが増えた企業が少なくな い。新型コロナウイルスの感染 状況次第では、この傾向はまた 変化していくと思われるが、ユ ーザー心理の細やかな変化に対 応していくことが、未曾有の危 機とも言える状況を乗り越える ために不可欠と言える。
 販売チャネルや、ブランドの 訴求といったアプローチにも変 化がみられる。周知の通り、ダイ レクトセリング化粧品では、こ れまで販売員の対面販売を主力 としており、通販などのオンラ イン施策は、主要チャネルの補 助という側面が強かった。コ ロ ナ禍によって対面でのカウンセ リングや販売に制約がかかる 中、オンラインに力を入れる動 きが活発化している。1面で報 じている通り、ナリス化粧品は 新スキンケアブランドを大手通 販サイト「アマゾン」と、大阪と 東京にある研修センターにおい て販売を開始した。主力の販売 員による販売や、 「デ・アイム」な どのサロン展開とは流通チャネ ルを分け、より幅広い層への訴 求を狙う。自社のECサイトだ けでなく、大手通販サイトで商 品を販売する動きは他のDS企 業にもみられるものだ。また、 ポーラはコロナ禍で業績が落ち 込む中、EC化を加速させると ともに、サロンなどの店舗では 非接触型のサービスの導入を進 めている。リニューアルした最 高峰ブランド「BA」では、 リアルとオンライン双方で訴求 を強め、勢いをつける構えだ。 先行きが不透明な中にあるが、 市場の盛り返しを期待したい。