時代の変化への柔軟な対応こそ

  1面で報じているように、長 期化するコロナ禍を受けて、日 常生活において「ニューノーマ ル」が定着しつつある昨今、ビ ジネス環境も急速な変化を迎え ている。特にデジタル分野では、 本来なら10年かけてシフトする はずの変化が一挙に押し寄せた と言われているが、ダイレクト セリング化粧品におけるサロン 展開においても、コロナ禍に見 舞われたこの半年の間だけで も、さまざまなパラダイム・シ フトが起きているように思われ る。ポイントは、さらに多様化 する消費者ニーズへの細やかな 対応だ。
 ナリス化粧品が10月21日から スタートする新サービス「プレ ミアムエステ」は、自宅でもサ ロンでも同一のエステメニュー を受けられるという内容だ(女 性限定)。同社ではセルフエス テサロン「デ・アイム」やクイ ックエステをメーンに提供する 「ビューティサロン」といった 独自のサロンビジネスを展開 し、幅広い女性層から支持を集 めてきた。新型コロナウイルス の感染拡大によって、サロン営 業は一時的に休業を余儀なくさ れたが、現在は感染防止対策を 十全に講じながら営業を行って いる。コロナ禍の中で、「他者 との接触を避ける」という心理 が働き、「サロンでエステを受 けたいのに受けられない」女性 が少なからず存在している現状 を鑑み、新たに導入するのが 「プレミアムエステ」だ。これま でにも、自宅でお手入れをする 訪問エステは実施してきたが、 自宅でもサロンでも同一のエス テ施術を受けられるというの は 、同社として初めてだという。  前述の通り、「プレミアムエ ステ」は、コロナ禍の中で変化 した消費者ニーズに呼応するか たちで誕生した施策だ。メーン ターゲットは、一定の安全が確 保されたプライベート空間(= 自宅)でエステを受けたい女性 層だが、それだけでなく、外出 が難しく、サロンでの施術を受 けることができない女性のニー ズにも柔軟に対応できるという 点に着目したい。ライフスタイ ルが多様化するとともに、超高 齢化社会を迎えた日本では、仕 事や家事、育児、介護、さらに はさまざまな理由によって外出 が難しい女性が多く存在する。 コロナ禍によって外出自粛の風 潮が強まり、その傾向はさらに 加速しているように思われる。 ナリス化粧品がこれまで展開し てきた「デ・アイム」にしろ 「ビューティサロン」にしろ、 リーズナブルな価格で誰でも気 軽に来店しやすい点が特徴だ が、 「プレミアムエステ」にも、 コロナ禍の中でさらに多様化し た女性のニーズに、幅広く対応 していくという共通点を見出す ことができる。
 ドア・ツー・ドアからサロン 展開まで多様なアプローチをも つこのビジネスは、急速に変容 するニーズに柔軟に対応できる 素地があると言えよう。