コロナ禍での危機管理体制こそ

  コロナ禍の中で、「ニューノ ーマル」が定着し、日常生活が 大きく変わった人も少なくな い。〝コロナうつ〟〝コロナ太 り〟など、ネガティブなキーワ ードを目にする日々だが、マス クを着ける生活が花粉症など特 定の季節だけでなくオールシー ズン化したことで、目元ケアや アイメーク関連の需要が増加す るなど、コロナ禍の中でも社会 経済活動を盛り返す動きもみら れる。歴史上、災禍に見舞われ る事態は何度もあった。現状を 受け入れ、その上で社会経済活 動を進めていく必要がある。
 コロナ禍の約半年余の中で、 日常生活だけでなく、ビジネス 活動においても危機管理の重要 性が特に高まっている。近年、 大規模な自然災害が相次いでい ることから、BCP(事業継続 計画)の策定が急務となってい るが、コロナ禍によって、地震 や台風、集中豪雨といった自然 災害に加え、パンデミックなど の災禍にも対応できる体制の構 築が求められている。BCPを 策定する上で不可欠なのはIT 活用であり、ITによって物理 的にリスクを分散させることの 重要性は、今後ますます高まっ ていくと思われる。この20年間 で著しく進化したITツール は、外出自粛の中でもビジネス をサポートする大きな助けとな った。当初は試行錯誤があった ものの、今では多くの企業でオ ンラインツールが積極的に利用 され、社内会議だけでなく、販 売員や代理店とのコミュニケー ション、さらには各種イベント や全国大会までもがオンライン で開催されるようになってき た。少なくとも、コロナ禍の収 束の目処が立つまではこうした 傾向は続くとみられる。
 一方で、ITへの対応は企業 間で大きな差があり、特にベテ ラン販売員が多い老舗では、デ ジタ ルツールの導入に難航して いるケースが散見され、BCP 策定においても同様の傾向があ る。予測不可能な災禍に備える ために、支援企業を活用したB CP策定も有用と言える。2面 で報じているように、ダイレク トセリング企業を支援する日本 ネットワークシステムは、これ までリアルで実施していた会社 見学会をリモート開催に切り替 えた。同社はこれまでも本社 (宮崎県宮崎市)やデータセン ター(広島県福山市)という地 理的条件を生かし、大規模災害 に備えたデータ管理およびバッ クアップを行ってきたが、この ほど1億円規模の新システムを 導入したほか、バックアップ先 をIBMクラウド上に変更する など、さらなるシステム強化と 利便性向上を進めている。
 IT関連の環境は、コロナ禍 によって10年かけてシフトする ような変化がわずか1年で訪れ たと言われている。対面販売が 基本のこのビジネスにおいて も、デジタルのメリットを上手 く取り込んだビジネスモデル構 築、BCP策定が急がれる。