ニューノーマルのノウハウ構築こそ

  1面で報じているように、ダ イレクトセリング(=DS)化 粧品分野においても、新型コロ ナウイルスの感染拡大による業 績面への影響が続いていること が明らかになった。緊急事態宣 言が発出されて多くの社会経済 活動が制約を受けた4月~6月 に比べると、サロン営業も再開 されて活発な動きもみられる。 しかしながら、ポーラやノエビ ア、シーボンといった上場企業 の直近業績をみる限り、下げ幅 にバラつきはあるものの、多く の企業がマイナス成長となって おり、予断を許さない状況が続 いている。
 周知の通り、近年のDS化粧 品市場では、エステサロンや地 域密着型の店舗といったビジネ スモデルを展開しているケース が多く、約半数の企業が何らか の形態でサロンビジネスを導入 している。従来型訪販に代わる 新しいカウンセリング販売のあ り方として定着したこのビジネ スモデルの思わぬ弱点が、コロ ナ禍という未曾有の事態で露呈 したというのが今春の状況であ った。社会構造の変化や消費者 のライフスタイルの多様化、価 値観の変容といったさまざまな 要因を背景に、現代に最も即し たスタイルと目されていたサロ ン展開であったが、コロナ禍の 中では、サロンという密閉した 空間で接客を行うスタイルがリ スクとなり、一時的とはいえ、 ほぼ全面的に休業を余儀なくさ れた。
 その一方で、このビジネスは、 時代の変化に柔軟に対応できる 強みも持ち合わせている。緊急 事態宣言解除以降は、予約数や 施術台数に余裕をもたせたり、 十分な感染防止対策をとりなが ら営業を再開している。これま ではサロン内で行っていた施術 前の事前カウンセリングをオン ライ ン会議ツールを用いて非接 触形式で実施するケースも増え てきた。さらに、サロンのメニ ューにもハンドマッサージだけ でなく、専用の器具を用いるこ とで、顧客の肌に直接触れるこ となくケアを行えるサービスを 導入するなど、〝ニューノーマ ル〟の生活様式に合わせた営業 形態への以降が進められつつあ る。サロンを拠点としたビジネ スだけでなく、従来の訪問型の スタイルを改めて見直す取り組 みも出てきた。ナリス化粧品で は、サロンと同じお手入れを自 宅でも受けられるサービスを開 始し、顧客の要望に幅広く対応 できる体制を整えた。
 ここにきて第3波の指摘もあ るコロナ禍だが、一方で、ワク チン開発など明るいニュースも 聞かれている。いずれにしても、 コロナ禍が収束するには相応の 時間を要するとみられ、〝ウィ ズコロナ〟を前提とした事業展 開は不可欠だ。どのような時代 であっても、カウンセリング販 売のニーズは多い。この半年で ノウハウを構築した各社が今後 どのような施策で盛り返してい くのか、注目される。