予断許さず、業界のコロナ対処

   春、夏の2度の波を大きく超 える第3波が押し寄せる中、ダ イレクトセリング(DS)業界 の新型コロナウイルス感染症へ の対応も予断を許さない状況が 続く。本紙が昨年8月に続き実 施した、2回目の業界アンケー ト(4~5面参照)では、緊急 事態宣言の影響が色濃かった4 ~6月に比べ、7~9月は売上 に一定の揺り戻しがみられ、10 ~12月は増収を見込む企業が減 収見通しを上回った。が、感染 者数自体は拡大スピードを加速 しており、アンケートから窺え る傾向もいつ様相を変えてもお かしくない。
 アンケートの集計によれば、 7~9月の売上にコロナが大小 の影響を与えていた会社は、全 体の70%。昨年8月の第1回調 査は73%だったため、業界に及 ぼす影響の程度はほぼ変わって いなかった。
 一方、売上に関しては伸ばし た割合が拡大。4~6月に増収 だった会社は20%にとどまった が、7~9月は32%と12ポイン トの差をつけた。減収だった割 合も、4~6月の49%に対して 7~9月は42%と7ポイント縮 小。影響を脱したとまでは言え ないものの回復の兆しが窺え た。
 また、10~12月の売上の見通 しは増収とした会社が39%とな り、7~9月の32%から7ポイ ントアップ。減収見通しとした 28%を11ポイント上回った。 「ほとんど変わらない」とした 23%を合わせると、6割強の会 社は前年並み以上の売上を維持 できる見通しだった。飲食や宿 泊・旅行の業界を筆頭に、小売 りのマーケットも全体として大 きなダメージを受ける中、DS 業界は比較的踏みとどまってい る感触がある。
 背景には、健康関連商材に対 する需要の高まり、オンライン ツー ルを駆使した販売活動のW EBシフト、各社各様の販売促 進プロモーションの奏功などが 指摘される。MLMは、副業と して関心を寄せる層が広まった ことも関係したようだ。  一方、対面ならではをセール スポイントとしてきたドアツー ドア型の営業、サロンへの集客 とカウンセリングといった分野 が、本来の強みを封じられてい ることも事実だ。現場で培って きたノウハウをオンラインで再 現するチャレンジも活発だが、 今後も試行錯誤が続くと見られ る。
 アンケートでは、感染対策の 一環で、%の会社が未だイベ ントやセミナーの自粛、縮小開 催を余儀なくされている現状も 浮かび上がった。「営業・販売 活動の自粛・縮小」も3分の1 に達するなど、手足を縛られた 状況で苦悩する会社が少なくな い。やはり、感染症の問題自体 に決着をつけ、不透明さを抱え た状況を脱することが不可欠 だ。そのためにも、国や自治体 が抜本的な感染対策を打ち出す 必要がある。