イベントの中止・縮小、救済検討を

 前号1面で伝えた通り、政府 から2度目の緊急事態宣言が発 出され、2月2日に宣言期間の 1カ月延長が決まったことを受 けて、イベントを予定していた MLM各社の間で中止や延期、 オンライン開催への転換が相次 ぐ。新型コロナウイルスの感染 が急速に拡大して1度目の宣言 が出た昨年2~5月にも、同様 の事態を生じた。やむを得ない 判断とはいえ、ゼロコロナの達 成にほど遠い状況である以上、 今後も同様のケースを生じる可 能性が捨てきれない。
 前号で取り上げた10社のう ち、2~3月にイベントを予定 していた8社は、うち7社が中 止や延期、オンライン開催への 転換を決定。会場開催を予定し ていたのは1社だけだった。そ の1社も、来場予定者数を会場 キャパシティの数分の1に抑え るなど、厳重な感染予防対策を 予定。見送る場合も開催する場 合も負担がのしかかる。
 8社のうち3社は、1月7日 に再宣言が出る前に中止やオン ライン開催への転換を決定。国 内の新規感染者数やコロナ用の 空き病床数は昨年11月頃から危 急の状況が見え始めていたこと や、冬の寒さとともに状況が悪 化することを見越し、早めの判 断を行った形。状況が好転しな い限り、四半期~半年単位でス ケジュールに制約を受ける状況 が続くことになる。
 また、好転がなければ、仮に 開催しても感染への不安から来 場数が見込めないという問題が 出てくる。ある会社は、宣言の 対象地域ではないエリアでの開 催も検討したものの、宣言期間 の延長決定を受け、「このよう な状況では皆さんに来てもらえ るかどうかよく分からない」と して見送ったという。別の会社 は、 「政府の指示は 尊重するし、 それに従った行動を取るが、そ れ以上に大事なのが参加者の方 の気持ち」「安心して参加いた だけるか、そのために何をすべ きかが最も重要」と語った。
 コロナ禍の1年で、業界の活 動はデジタルシフトが急速に進 み、オンライン開催も珍しくな くなった。しかし、販売員の実 績に報いて、さらなる活動に向 けて士気を高めてもらうイベン トの意義はリアルでこそ、とい う側面を再確認した1年でもあ ったのではないか。
 もちろん、現状でそれは難し い。ならば、リアルの開催を見 送らざるを得なかったケースに ついては、政府による救済措置 が広く検討されてよいはずだ。 2月1日から受付が始まった、 最大2500万円を補助する映 像産業振興機構の「J―LOD live補助金」は、収録映像 を海外に発信するイベントしか 対象としていない。芸能分野が 大きなダメージを受けているの は確だが、他の分野や海外発信 を予定しないイベントも、苦し い事情を抱えることには変わり ない。もっと幅広い救済措置が 考えられてよいのではないか。