アリックスの処分 組織分裂に発展、行政も関心か

  本紙既報(2月18日号3面) の通り、 「アリックスジャパン」 の米国本社が、新会社を立ち上 げて独立した元トップ会員4人 を米ユタ州で提訴した。様々な 特典を受けられる「ファウンダ ーズクラブ」の一員だった4人 が、利益相反活動等を禁じる契 約を本社と結んでいたのに、同 州法に反する企業秘密の不正流 用を行ったなどと主張する。一 方、過去に業界で繰り返されて きた組織分裂や類似の訴訟と様 相を異にするのは、独立が特商 法の取引等停止命令を契機とし た点。処分した消費者庁も関心 を寄せるとみられる。
 4人が立ち上げた新会社は、 ヒト細胞培養液の化粧品などを 販売。〝移籍〟した人数は不明 ながら、アリックスがクロスリ クルートを理由に強制解約した リーダーは三十数人にのぼる。 昨年月の処分直前、米国本社 を買収していた米ニューエイジ のCEOは、本紙のインタビュ ーに「会社に大きなダメージを もたらした」と述べた。
 アリックスに対する立入検査 は昨年1月。このため、買収交 渉の時点で処分の可能性は織り 込んでいたと考えられる。しか し、4人の独立は想定外だった とすれば、買収を契機とした日 本売上の更なる拡大にとって不 安材料になり得る。「絶対にア クションを止めることはない」 としたCEOの説明からも、訴 訟への強い姿勢が窺える。  一方、新会社設立が新規勧誘 等を禁じる処分をきっかけとし たことや業界に対する近年の執 行強化を踏まえると、事態はよ り複雑とも言える。
 ニュ社プレジデントはインタ ビ ューで、新会社への〝移籍〟 が持ち掛けられたフィールドに おいて、「(新会社に移った会員 は)いずれまた、アリックスに 戻る」 「アリックスが(新会社を) 買収する」といった説明が行わ れていたと話した。もし、この 説明が、アリックスに命じられ た9カ月の停止期間が終わるま で新会社でMLMを行い、その 後に合流するという意図を含ん でいた場合、脱法的行為と受け 取られるリスクを生じる。
 プレジデントは、処分を行っ た消費者庁が「隠れ蓑の別会社 を作って、会員を移動させるこ とを警戒している」とも述べた。 実態はどうであれ、そのような 懸念をもたれかねない状況は、 業界で過去に起きてきた組織分 裂と様相を異にする。
 消費者庁はアリックス処分の 10日後、MLMの「アイエムエ スジャパン」に6カ月の取引等 停止命令を下した際、事業の中 心人物らが新設した同業の後継 会社「RS」の社名公表も行っ た。類似の違反行為を行う疑い のある関係会社の社名公表や中 心人物だった個人への業務禁止 命令は、近年の処分で増えてい る。組織分裂が珍しくない業界 の事情に行政が通じるようにな った場合、この傾向がさらに強 まることも考えられる。