趨勢に合わせた柔軟施策を

 ニューノーマルで価値観が変 化する中、ダイレクトセリング 化粧品企業のビジネスモデル も、社会のあり方に合わせて新 たな動きをみせている。
 最大手のポーラは、コロナ禍 の中で急伸しているECチャネ ルの拡大と同時に、ECやデジ タルツールを活用することで、 ポーラ・ザ・ビューティー(= PB)をはじめとするリアル店 舗への導線強化を進めている。 サロンでは、SNSを活用した 情報発信で地域密着を強調。感 染対策も従前に講じて、手軽に 美容ケアやリラックスを行える 場所として訴求している。ワク チン接種が徐々に進んでいるも のの、外出を控えている女性も 少なくない。サロンでは、オン ラインカウンセリングなどを行 ってサロンでの滞在時間を減ら すなど、リアル・デジタル双方 を活用している。一方、昨年は ほぼ中止となったブランド体感 イベントも感染状況を鑑みなが ら再開している。イベントでも SNSと連動した施策を展開 し、SNS上でのクチコミ発信 に力を入れている。また、PB など営業現場で活躍する女性を 募集する「ポーラ・リクルオー トフォーラム」もオンラインで 開催するなど、社会情勢に柔軟 に対応している。
 サロンビジネスの老舗企業で あるシーボンも、SNSやアプ リなどのデタルツールを活用し て顧客とのコミュニケーション 強化を図っている。具体的には、 「シーボン オンラインビュー ティ・アドバイス」を導入した ほか、公式ユーチューブで「お こもり美容」動画を配信するな ど、オンラインでのフォローア ップを行う。「ホームケア+サ ロンケア」というコンセプトで 化粧品を販売し、サロンでケア を行ってきた同社は、前期は緊 急事 態宣言等の影響で苦戦した が、今期はサロンを軸としつつ 自宅ケア需要の取り込みも図 り、V字回復をめざす。
 さらにシーボンは、事業の多 様化にも乗り出した。6月日、 「ブライダル情報サービス事 業」を新たに立ち上げることを 公表。具体的な内容は明らかに されていないが、今後、既存・ 新規顧客のライフステージに関 わる分野として、ブライダル分 野の事業基盤強化を図るとして いる。婚姻数の減少や少子高齢 化、さらにコロナ禍を背景にブ ライダル関連市場は厳しい状況 にある。一方、シーボンの顧客 (会員)のほぼ女性が占め、年 齢層も幅広い。会員制サロンで 培ってきたカウンセリングや顧 客フォローのノウハウは、信頼 が求められるブライダル事業と の親和性は高いと言える。同社 は長年にわたって化粧品の製造 販売、アフターサービス提供を 主軸としてきた。関連事業とし て、美容室や女性用ウィッグの 販売も手掛けてきたが、まった くの新規分野への挑戦が今後の 事業にどう影響するのか、動向 が注目される。