不招請勧誘議論、再燃に警戒を

  改正特定商取引法の政省令、 ガイドラインで「書面交付電子 化」の要件を定めるため、7月 30日に消費者庁「特定商取引法 等の契約書面等の電子化に関す る検討会」の初会合が行われる。 4~5面のアンケートの通り、 消費者庁は非常に厳格な要件案 を検討。消費者サイドの委員も 同調するとみられ、業界サイド の委員の主張が注目される。
 一方、消費者サイドは、交付 要件あるいは抜本的な消費者ト ラブルの解決手段として、電子 化と直接関係しないテーマの議 論を求めており、この行方も注 視される。特商法の改正審議で、 過去に幾度も浮上した不招請勧 誘規制だ。  5~6月に改正法が可決、成 立する過程で、複数の消費者団 体は電磁的交付要件の厳格化な どを求める意見書、声明を発出。 ここで不招請勧誘規制にも触れ てきた。
 衆院通過の3日後に声明を出 した日本弁護士連合会は、電子 化にともなうトラブル防止の検 討を訴えるとともに、「抜本的 な被害防止策の制度化に向けて 本来先行すべき事前拒否者に対 する勧誘禁止制度等の実効性あ る規制の検討も含め、より充実 した審議が行われることを求め る」と主張。全国消費者団体連 絡会は、参院の通過後、消費者 の承諾のあり方等に関する慎重 な議論と「訪問販売や電話勧誘 販売における抜本的な対応策」 の検討を求める声明を出した。
 その後も、「何よりも、電磁 的書面交付をするにあたって は、不招請勧誘規制が必要」 (全 国消費生活相談員協会)、 「そも そも、そうした取引を拒絶する 意思表示をしている者に対する 勧誘を禁止するなどの根本的な 問題対応を図る必要はないであ ろうか」 (消費者支援機構関西) といった意見、声明が続いた。
 電子化の要件をめぐり、7月 19日の消費者委員会ヒアリング に出席した日本消費生活アドバ イザー・コンサルタント・相談 員協会も「書面電子化の流れと、 高齢者のトラブルが引き続き多 い現状に鑑み、『不招請勧誘禁 止規定』の導入を検討すべき」 と意見している。
 このような意見が相次ぐ背景 には、法的根拠が存在すること が大きい。改正法を可決した参 院の附帯決議は、施行にあたっ て「適切な措置を講ずるべき」 とした項目の最後に、「政府 は、訪問販売や電話勧誘販売に おける高齢者・障がい者の消費 者被害を抜本的に予防するた め、幅広く対応策を検討するこ と」を盛り込んだ。被害防止の 対応策として不招請勧誘規制が テーマ化されようとしている。
 不招請勧誘規制は、6年前の 消費者委員会「特定商取引法専 門調査会」で議題の一つに浮上。 この時は、委員の間で激しい賛 否の応酬の末に見送られた。こ れが再燃するなら、電子化以上 のテーマとして業界もより真剣 な対応が不可欠。要警戒だ。