コロナ禍で明暗、予断も許さず

  過去4度の波を上回る第5波 の中、ダイレクトセリング業界 の新型コロナ問題への対応は依 然、予断を許さない状況が続い ている。本紙アンケート(1面 参照)では、1~6月の売上高 が前年同期を上回った企業と下 回った企業がほぼ拮抗。明暗を 分ける形となった。7~12月は 増収もしくは前年並みの見通し とした企業が8割を占め、回復 が期待されるものの、第5波に よって目算にズレを生じてくる 可能性も捨てきれない。
 アンケートを集計した結果、 上期の売上が増収だった企業は 全体の39%で、減収だった企業 は44%。減収企業の構成比がや や上回ったものの、おおむね拮 抗した。増収および減収の幅は 1割未満の企業がもっとも多い が、増収企業では倍増、減収企 業では3割減というケースもみ られた。
 増収あるいは減収という結果 は、本来、各社の政策の如何で 左右されてくるが、現状はコロ ナ禍の影響が避けられない。今 回のアンケートでは8割強の企 業が、上期の売上にプラスある いはマイナスの影響を受けた、 もしくは影響の程度を測れない 旨を回答した。
 プラス面の影響は、健康維持 への関心が飛躍的に高まったこ とによる健康関連製品の好調、 オンライン経由の勧誘・販売ル ートの成長などが代表例。ML Mは副業ニーズの高まりも指摘 できる。
 一方、コロナ禍のマイナス面 は、ドアツードア型販売におけ る対面提案、サロン・セミナー への集客、催事・イベントの開 催といった、業界に必要不可欠 だったファクターに大きな影を 落としている。市況自体の悪化 も、新客獲得や単価に悪影響を 及ぼしている。
 コロナ禍を追い風としている か、 あるいは逆風となっている かの違いはあれど、その影響下 での事業展開を余儀なくされて いる状況は、昨年から大きく変 わってはいない。
 今後の見通しは、下期の売上 が前年同期を上回るとした企業 が54%を占め、前年並みを見込 む企業も27%に達した。ただ、 アンケートの集計は6月末~7 月中旬に集中したため、今、全 国を覆う第5波を踏まえた見通 しとは言い難い部分もある。新 規感染者数や患者の病床占有率 などの数字は日々、ワーストを 更新しており、まさに予断を許 さない状況が続いている。
 飲食、宿泊・旅行といったマ ーケットに比べれば、今のとこ ろ、DS業界全体では、コロナ 禍の初期に懸念されたような大 きなダメージは抑えられている と言えるだろう。各社の様々な 試行錯誤や取り組みが成果をあ げてきたことも指摘できる。
 が、第5波の長期化や同規模 の波が再度、押し寄せることに なればやはり限界がある。感染 症の問題自体に決着をつける抜 本的対策が政府に求められる。