リアルイベントの存在感

  新型コロナウイルス感染の第 5波は、8月をピークに急速に おさまりつつある。しかしなが ら、空気が乾燥し寒さが増して くるこれからの季節には、第5 波を上回るような〝第6波〟の 到来も懸念されており、油断は 禁物だ。ダイレクトセリング化 粧品分野では、新規ユーザーと の接点創出や、ブランド訴求の 場として、これまでリアルイベ ントを積極的に開催してきた。 コロナ禍になり、リアル・デジ タル双方を活用した施策が主流 となっているが、実際に会うこ とのできるリアルイベントの効 果は小さくない。
 不特定多数が集まる大規模イ ベントは、このような社会情勢 では開催が難しい。一方で、 「困難な時期こそ人のつながり を」という想いで、昨年の冬に 全国大会を実施したケースもあ る。2020年7月に創立40周 年を迎えたワミレスコスメティ ックスは、12月に都内ホテルで 全国大会「出逢いと感謝の集い」 を開催した。コロナ禍の只中で の実施には、社内でもさまざま な意見があったというが、出来 得る限りの最善を尽くすことで 開催に踏み切った。まず、参加 者を例年の半分に制限し、会場 のソーシャルディスタンスを確 保。次に、参加者全員に事前に PCR検査を実施してもらい、 陽性だった場合は参加を取りや めてもらう(検査費用はすべて 主催者負担)。さらに、大会当 日は入口で検温を行い、検査結 果を提示してもらった上で入場 できるという措置を取った。参 加者全員が陰性で、かつ十全な 感染防止対策を講じることで、 節目の年の大会を開催した。結 果としてクラスターの発生もな く、無事に終えることができ、 参加者からも好評を博した。気 持ちがふさぎがちだった当時、 さま ざまなリスクを踏まえた上 での開催は、販売員の結束に大 きく寄与した。
 コロナ禍は依然として不透明 で、決して事態を楽観視するこ とはできない。その一方で、ワ クチンの接種率は全国民の半数 以上に達し、ブレークスルー感 染に備えて3回目のブースター 接種を行う議論もなされてい る。また、ワクチン接種やPC R検査にもとづいた「ワクチン パスポート」の活用も検討され ており、既に一部自治体では独 自の導入を目指し、旅行や飲食 店利用での社会経済活動の活性 化へつなげる方針を打ち出して いる。「ワクチンパス」の活用 には多様な意見があるが、大規 模イベント開催のための1つの 基準への活用は期待できるだろ う。その意味では、ワミレスが 強い意思をもって全国大会を開 催した昨年に比べれば、事態は 好転しているのではないだろう か。
 リアル・デジタル併用の流れ は今後加速するとみられるが、 リアルならではの一体感、共感 性はさらに存在感を示していく ことだろう。