MLM会員特商法逮捕 検証と再発防止、急ぎ徹底を

  日本アムウェイの会員2人 が、勧誘目的を告げずに公衆の 出入りしない場所で同社への入 会を勧誘したとして、特定商取 引法違反の容疑で京都府警に逮 捕された(11月25日号4面既 報)。府警によれば2人は容疑 を否認。さらなる捜査が進むと 見られる一方、同社は2人のビ ジネス資格停止に着手。組織全 体のコンプライアンス強化を急 ぐ方針を打ち出した。
 逮捕容疑は第34条4項違反。 特定負担をともなう連鎖販売の 契約締結を勧誘する目的を告げ ず、公衆の出入りする場所以外 の場所で勧誘することを禁じた 条項だ。いわゆる三大告知義務 の一つである勧誘目的等明示ル ールが守られていれば、そもそ も適用の余地はない。が、履行 を怠ったばかりに3年以下の懲 役、300万円以下の罰金の対 象(併科あり)である同条項に 抵触することになった。
 同条項を根拠とした行政処分 は珍しくない。最近では、消費 者庁による「ITECINTE RNATIONAL」や「NO ―VA」の処分で認定された。
 一方、逮捕容疑となると別。 府警によれば、2人のうち1人 は、出会い系のマッチングアプ リを使い、勧誘の意図を伏せて 相手を食事に誘っていた。この ようなブラインド勧誘への苦情 はアプリ運営会社に数十件も寄 せられていたという。常習的行 為を悪質とみなし、府警が動い た可能性がある。
 第34条4項は2004年改正 での導入。十数年の運用歴があ り、処分での適用も珍しくない。 業界のコンプライアンス担当者 からすれば、常日頃からフィー ルドに遵守を呼び掛けてきたル ールの一つのはずだ。日本アム ウェイも同様の姿勢で臨んでい たと考えられる。にもかかわら ず 逮捕者を出した要因や背景、 あるいは類似の行為が広まって いないかどうかについて、急ぎ 検証が求められる。
 同社は逮捕報道の翌日に声明 を公表。2人の会員資格を「即 時に停止」するとともに、法律 違反や倫理に反するビジネス活 動を容認しない姿勢に変わりは ないと強調した。取材には「法 律・ルールの浸透をさらに徹底 していくため、具体的な内容を 現在社内で調整して」いる旨を コメントした。
 同社は11月17日、「緊急メッ セージ」と題した社長動画も公 開し、この中で、すべてのビジ ネス会員を対象としたミーティ ングやトレーニングを全国の会 場およびオンラインで行うと表 明。日程や詳細は決まり次第、 告知するとした。
 今後は何より有言実行が問わ れる。最大手の予期せぬ事態に 業界関係者の関心は高い。再発 防止のためどこまでの取り組み に踏み切るのか。その中身は業 界全体のコンプライアンスの方 向性さえ左右すると言っても過 言でない。内実の伴った取り組 みが求められている。