しなやかな需要対応こそ

 本紙が実施した「第71回ダイ レクトセリング(DS)実施企 業売上高ランキング調査では、 調査企業124社の小売ベース の売上高総額は1兆3889億 4700万円となった。前期と の比較では3.3%減、202 1年7月の前回調査時比で、マ イナス幅は0.1ポイント縮小 した。ワクチン接種の進展など を背景に、2021年後半はコ ロナ禍が一時的に落ち着いた が、再びオミクロン株による感 染拡大が懸念されており、予断 を許さない状況が続いている。
 ダイレクトセリング業界はバ ブル崩壊やリーマンショックな ど社会情勢の変化や消費者の価 値観の多様化の影響を受けてき たが、近年は多くの企業におい て、業態改革の成果がみられる ようになっていた。新型コロナ ウイルスの感染拡大に伴う社会 経済活動の停滞によって、20 20年は大きな打撃を受けた が、2021年はニューノーマ ルに対応したさまざまな商品・ サービスが開発された。中でも、 リアル・デジタル双方のメリッ トを活用した施策が急速に拡大 した。イベントやセミナーなど、 これまで大規模会場を使って実 施してきた施策についても、オ ンラインのみの開催や、会場を オンラインで配信するハイブリ ッド型の開催も増えている。リ アル開催は、対面でしか味わえ ない体験であり、このビジネス の根幹と言える。また、オンラ イン施策は、遠隔地など、さま ざまな事情でリアル会場には参 加できない人でも手軽にアクセ スできることから、グループと のつながりを維持しやすく、モ チベーション向上に寄与でき る。コロナ禍において、幅広い 年代においてデジタルツールを 活用する動きが広がったことも 相ま って、今後もデジタル施策 の活用が続くとみられる。
 サロンでの営業や異業種との コラボ、商業施設での体験イベ ントなど、リアルでの多様なア プローチによって新規顧客の獲 得につなげてきた取組みについ ても、ニューノーマルの生活様 式の浸透とともに、その手法に も変化がみられる。サロンでは 十全な感染防止対策を講じて営 業活動を行い、個室の増設やオ ンラインカウンセリング、ハン ドエステに比べると接触が少な いメニューなどを導入して、ウ ィズコロナに適応したスタイル へのシフトを進める。サロンと 同等のサービスを提供する訪問 エステや、巣ごもり需要を見据 えたネット通販の強化といった 動きもみられ、これまで培って きたノウハウを上手く組み合わ せて対応している。オンライン セミナーや動画配信による販売 員・愛用者のフォローもますま す活発だ。
 コロナ禍の生活も2年が過 ぎ、消費者の価値観は大きく変 わった。社会の変化に合わせて、 ニーズに柔軟に対応するしなや かさが求められる時代が本格的 に到来したようだ。