先読みで需要掘り起こしを

  ダイレクトセリング業界の化 粧品分野では、ECなど新規顧 客にアプローチしやすいチャネ ルとの融合が進み、リアル・デ ジタル双方のメリットを活かし た施策が加速している。一方、 主力のサロンビジネスでは、安 心して来店できる環境の整備や 新メニュー、オンラインカウン セリングを導入するとともに、 自宅でエステを提供するなど、 顧客のニーズに柔軟に対応でき る体制へシフトを進めている。 コロナ禍は依然として先行き不 透明な状況が続いており、この 流れはしばらく続きそうだ。
 本紙が2021年12月に実施 した「第回ダイレクトセリン グ実施企業売上高ランキング調 査」の中で、化粧品を主力商品 とするダイレクトセリング企業 42社のうち、エステサロンや地 域密着型店舗を展開しているの は19社で、半数近い企業がサロ ンビジネスを導入している(1 月20日号既報)。サロン展開そ のものは1980年代頃からワ ミレスコスメティックスやシー ボンといった企業が導入してい たが、業界に広がったのは20 00年代以降だ。ポーラの「ポ ーラ・ザ・ビューティー」をは じめ、ナリス化粧品のセルフエ ステサロン「デ・アイム」など、 各社が独自のスタイルでビジネ スの「見える化」を進め、透明 性を確保してきた。
 従来型訪販に代わるビジネス モデルとして定着してきたサロ ンビジネスも、大きく変化を遂 げている。中でも大きなポイン トが、リアルとデジタルの融合 だ。コロナ禍において、「人と 人の接触による感染リスク」と いう事態が発生したことで、当 初 はサロンという密閉した空間 での施術や接客が躊躇された。 現在は十全な感染防止対策を講 じて安全性を確保し、利用者が 安心してサービスを受けられる 環境を提供している。一時期に 比べ、利用者は戻ってきている ものの、新規感染者の増減など 社会情勢に左右されるケースも 少なくない。
 コロナ禍の中で見えてきたの は、感染リスクを考えて来店を 控える利用者だけでなく、仕事 や育児・家事、介護など、さま ざまな事情でサロンを利用した くても出来ない需要があること だ。各社は、こうしたニーズに 対し、これまでリアルで実施し ていたさまざまなサービスをデ ジタルサービスとして展開、オ ンラインによる事前カウンセリ ングやバーチャルメーク、ビデ オ会議ツールを用いたイベント や講習など、デジタル・リアル 双方のメリットを活用した施策 が相次いで導入され、時代の変 化に柔軟に対応している。来店 が難しいニーズに対しては、訪 問エステなど、昔から行われて きた施策を現代風にアレンジし て対応する動きもみられる。
 未だ見通しがきかない情勢が 続くが、ニーズを着実に読み取 って乗り切っていきたいところ だ。