成年年齢引き下げ 18~19歳の勧誘、各社は方針確認を

 4月1日の「成年年齢引き下 げ」まで残り2カ月を切った。 ダイレクトセリングの業界で は、未成年を対象とした勧誘や 契約の締結は行わない方針を取 るところが大多数。ただ、この 方針の延長線上で、引き下げ後 に新たに成人となる18歳~19歳 を勧誘等の対象に含めていくか と言えば、慎重な姿勢を見せる 会社のほうが目立つ。
 本紙は、成年年齢引き下げ後 の勧誘・契約締結方針に関する 業界アンケートを実施(1月27 日号1面)。ここで、18歳~19 歳を勧誘等の対象としていくか を聞いた結果、「対象に含める 考えはない」との回答が全体の 60%を占めた。
 引き下げは2018年の民法 改正で決まった(施行は4月1 日)。したがって4年間の周知 期間があったことになる。
 しかし、社会全体の意識や若 者を取り巻く環境を俯瞰する と、「18歳から大人」という認 識や社会的合意が広く形成され ているとは言い難い。18歳には 高校生も含まれること、飲酒や 喫煙は20歳からに据え置かれた ままということなどから、依然、 親等の保護監督下の存在という 見方をされるケースのほうが多 いと思われる。
 特にDS業界では、若者につ いて、高齢者と同様に社会的弱 者に該当しやすく、勧誘・契約 締結の際に慎重な配慮が必要と されるべき という考え方が 強い。そのことはデータからも 言え、「PIO―NET」ベー スの「マルチ取引」相談件数は 20歳代と19歳以下で半数を占め る状況が長年、続いている。  引き下げが近づくに従い、学 校教育で社会科や家庭科を中心 に消費者教育が推進されてきて はいるが、そもそもの社会経験 の浅さまではカバーできない。 それゆえ、不本意な契約に至っ たり、消費者トラブルに見舞わ れる頻度が引き下げ後に高まる 可能性も無視できない。このよ うな背景が、18歳~19歳の勧誘 等への慎重姿勢に窺える。
 アンケートでは、勧誘等を行 う年齢の基準も聞き、全体の4 分の3が「20歳以上」を選択。 他方で14%は、これより上の 「23歳以上」「25歳以上」「30 歳以上」を基準としていた。自 主的に年齢を引き上げるのは、 まとまった定期収入に乏しい大 学生等との契約を安易に結んで しまうリスクなどを排除する狙 いなどがある。このような場合 も、18~19歳への勧誘等はそも そも視野に入ってこない。
 引き下げ後の方針について、 4分の1にあたる26%は「検討 中/どうするか未定」と回答し、 対応を決めかねていた。これら の会社は4月までの間に、新た に成人となる18歳~19歳を対象 に勧誘等を行うかどうか、方針 を明確に固めておくべきだろ う。引き下げ後のトラブルには 行政、メディアも今まで以上に 注目するはず。後の祭りとなら ないための判断が求められる。