コロナ禍で柔軟さ増す商品政策

 コロナ禍の中、ダイレクトセ リング化粧品分野では、ニュー ノーマルに対応した商品・サー ビスの開発に力を入れている。 多様化する消費者の価値観やラ イフスタイルに合わせて、より 柔軟な対応が求められている。
 コロナ禍で外出機会の減少な どがあった結果、化粧品市場で はリップなど一部アイテムの需 要が落ち込んでいる。一方、ア イシャドウなどの目元を彩るメ イク品や、自宅でセルフケアを 行う「おうち美容」のニーズが 増加している。ナリス化粧品は、 2006年から発売している最 高級スキンケアブランド「セル グレース」の美容液「セルグレ ース フォーミュラ」の累計販 売本数が120万本を突破(2 021年12月)したことを受け、 期間限定で感謝記念キャンペー ンを行っている。1995年に 誕生した同ブランドは、50代以 上の女性の肌の変化に着目した 研究に基づいて開発したスキン ケアシリーズで、現行の4代目 「セルグレース」は、2013 年から展開している。コロナ禍 の「おうち美容」「プチ贅沢」 需要を背景に、美容液が人気を 博しており、大きく伸長してい るという。このほかにも、メイ クブランド「ヴィータ」をはじ め、コロナ禍で変化した女性の ニーズをキャッチしたラインナ ップを強化している。
 最大手のポーラでは、最高峰 ブランド「BA」を軸に、 「おうち美容」の掘り起こしを 進め、業績の回復を目指す。コ ロナ禍においても、「美白」や 「エイジングケア」といった2 大カテゴリーは引き続き高い需 要が期待できる。4月1日には、 大人の肌悩みの1つである「毛 穴目立ち」のリ スクが“糖化汗” であることに着目した保湿化粧 水「BAローションイマース」 を投入。新たなアプローチで基 幹ブランドの付加価値を高めて いく。また、美白ライン「ホワ イトショット」に「│イマース」 のミニサイズなどをセットした 限定品を投入するなど、外出機 会の増加に伴う美白ニーズへの 訴求も強めていく方針。
 このほかにも、1月1日に新 エイジングケアブランド「シー ボンルミナス」シリーズ3品を 投入。同社が長年培ってきたサ ロンケアとエイジングケアの研 究開発成果をフィードバックし た新シリーズで、「サロンケア のようなスキンケア」を自宅で も行えるコンセプトで開発した という。新たな施策としては、 男性用化粧品をクラウドファン ディングで先行販売する企画を スタートした。男性用化粧品は、 潜在需要があるとされる半面、 アプローチが難しい。新しい商 品やサービスに関心がある人が 集まりやすいクラウドファンデ ィングサービスと組み合わせる ことで、ニーズの掘り起こしに つなげる。化粧品にも「ジェン ダーレス」タイプが増えてきて おり、男性を取り巻く商品政策 も今後変わっていきそうだ。