コロナ禍で変化する顧客接点

  コロナ禍は、3回目のワクチ ン接種が始まっているものの、 第6波の出口が未だ見えてこな い状況にある。経済界では社会 経済活動の活性化を要望する声 が多く、また消費者側も十分な 感染対策を講じつつ、過度な自 粛をせず生活できる状況を期待 している。不安定なニューノー マル生活で多様化・細分化する ニーズをすばやくキャッチする ことが不可欠だ。
 ダイレクトセリング化粧品最 大手のポーラ・オルビスホール ディングスの2021年月期 業績は、コロナ禍の影響を大き く受けた前期から回復して増収 に転じた。ポーラブランドにお いても、売上・利益ともにプラ スとなったが、コロナ禍前の水 準には戻っていない。現在の状 況が収束するまでは、主力の販 売チャネルであるポーラ・ザ・ ビューティー(PB)や、ビュ ーティーディレクター(BD) の動きも感染状況に左右されて しまう。各販売チャネルの売上 構成比をみると、委託販売チャ ネルが大きく下がった一方で、 海外や国内ECは上昇。また、 百貨店・B to Bもわずかに上昇 した。中でも、国内ECの売上 伸長率は、前期比49.8%増と 大きく飛躍しており、消費行動 の変化を如実に反映するかたち となった。委託販売チャネルに ついては同5.2%減となって おり、PBをはじめとするショ ップやBDの減少の影響がみら れた。
 今期以降の戦略において、ポ ーラブランドでは好調なECや 海外市場へのテコ入れを強める としている。一方、委託販売チ ャネルについても、既に実施し ているように、オンラインカウ ンセリングやSNSによる情報 発信などを絡めて、リアル・デ ジタルの融合による顧客接点の 創出を行う方針を示している。 委託 販売におけるオンライン決 済・直送を導入したほか、BD のオンライン活動が収入に反映 される仕組みも整備したほか、 公式アプリの提供など、現代の 消費者ニーズに合わせた接点を 開発していく。オンライン経由 の新規顧客は増加傾向にあり、 これをいかにリアル(店舗)に つなげるか、導線の整備が要と なる。また、ショップ数やBD 数の減少に対しては、昨年から 新たなビジネスモデルとしてス タートした「法人設立」モデル がフォローする役割を担う。委 託販売組織の一部を法人化する ことで、「個人事業主から会社 経営者に」という視点でプロフ ェッショナル化を進めるととも に、事業の持続可能性も強化し ていく。顧客のリピートだけで なく、BDの離職率低下、組織 としての顧客管理を行っていく としている。
 「リンクルショット」や「B A」、「アペックス」といっ た高付加価値ラインが強みのポ ーラだが、どのような接点が有 効なのか、コロナ禍の中で過渡 期にあるようだ。