柔軟なビジネス環境こそ

コロナ禍における社会経済活 動は、ニューノーマルに対応し た取組みがスタンダードとなっ た。化粧品市場では、需要が急 増したECチャネルの強化がみ られる。今やリアル・デジタル の融合は不可欠となっており、 特にデジタル経由でブランドに 接触したユーザーの定着がカギ となっている。
 ポーラは、ポーラショップな どでオンラインカウンセリング を実施しており、月間2000 人以上の顧客が同サービスを利 用している。コロナ禍の中、ニ ューノーマルに対応したサロン 施策としてスタートしたのが、 オンラインによるカウンセリン グサービスだ。対面で行ってき たカウンセリングをオンライン 化し、スタッフと顧客の接触時 間を減らすことが出来るシステ ムは、「おうち美容」を行いつ つ、サロンでのカウンセリング などリアル施策を提供できるの が特徴。オンラインカウンセリ ングでは、顧客とビューティー ディレクターとの1対1のカウ ンセリングを行うほか、複数名 が参加できるワークショップ、 新製品の使い方や季節ごとの美 容法、家でできるマッサージな どを紹介するオンラインレッス ンも提供している。顧客同士の コミュニケーションも取り入れ たモニター座談会形式での利用 も行っており、オンラインカウ ンセリングおよびワークショッ プの満足度は90%以上、知人・ 友人への推奨度は80%と、好評 だという。今第1四半期では、 こうした取組みがあったもの の、業績的には大きく後退して おり、今後どのような改善策を 講じていくのか注目される。
 ナリス化粧品は、コロナ禍の 早い段階から「おうち美容」需 要へのフォローに力を入れてき た。その結果、さまざまな事情 で外出が難しい女性のニーズを キャ ッチするなど、リアル・デ ジタルの施策を有効に活用する ことで、新たなブランド訴求の あり方が見えてきた。最高級ス キンケアブランド「セルグレー ス」がコロナ禍で需要をキャッ チした。中でも美容液「セルグ レース フォーミュラ」は、ブ ランドをけん引するアイテムと して人気を博している。「おう ち美容」については、2021 年1月21日から、自宅に1カ月 分のスキンケアセットが届き、 専属の美容部員がオンラインで カウンセリングを行う「オンラ インスキンケアモニター」のサ ービスを行っている。オンライ ンによるカウンセリングを、 「対面でできないから、仕方な くオンラインで行う」とは捉え ず、ひと目を気にせず、顧客の 日常と同じ目線で行うことがで きるため、より納得度の高い内 容を提供できるサービスと位置 づけて、新たなニーズ掘り起こ しにも寄与している。
 刻一刻と変化するコロナ禍の 状況に対し、柔軟なビジネス環 境を構築することが引き続き求 められている。