デジタルからの誘導にカギ

 本紙が2022年7月に実施 した「第72回ダイレクトセリン グ(DS)実施企業売上高ラン キング調査(対象・DS=訪販 ・MLM企業)では、調査企業 121社(小売ベース58社、卸 ベース63社)の小売ベースの売 上高総額は1兆3719億50 00万円で、前期比0.7%減 となった。業態や主力商品によ って差異はあるが、3年目のコ ロナ禍の中、依然として厳しい 状況が続く。引き続き2021 年12月の前回調査時比でマイナ ス幅は2.6ポイント縮小した。
 訪販化粧品企業では、最大手 のポーラは、大幅ダウンとなっ た2020年12月期から一転 し、2021年12月期はプラス に転じた。しかしながら、直近 の2022年12月期第2四半期 では、同第1四半期に続いて落 ち込んだ。販売チャネルでは、 主力の委託販売チャネルの回復 が予想を下回っている。顧客1 人当たりの購入単価が回復して いる一方で、新規顧客数の減少 が続いている。
 ポーラでは、SNSや公式ア プリを用いた取組みを積極的に 行っているほか、公式オンライ ンショップにも注力しており、 コロナ禍でもアクセスしやすい デジタル施策の強化を図ってい る。同時に、主力のリアル施策、 すなわちサロンビジネスのテコ 入れも行い、オンラインカウン セリングやショップによる情報 発信、8月からはショップ発の 肌講座「肌スク」もスタートさ せた。リアルとデジタル施策の 連動、特にデジタル経由でアク セスしてきた顧客をリアルへ誘 導し、リピートユーザーへとつ なげるのは各社共通の目標だ が、ポーラでは、この連動に課 題 があると分析。ニューノーマ ル生活が続き、非接触型の商品 ・サービスが浸透する中、いか に「サロンへ来店することのメ リット」を訴求するかが、委託 販売チャネル回復のカギと位置 づけている。ECをはじめとす る多様な販売チャネルを展開し つつ、それらを主力の委託販売 チャネルへ誘導するという流れ は、ポーラの戦略の根幹をなす ものであり、2023年を目処 に連動システムの構築を進める 構え。
 他の訪販化粧品系企業でも、 リアル・デジタル双方を活用し た施策がみられる。コロナ禍で は、異業種とのコラボレーショ ン、商業施設での体験イベント など新規顧客への重要なアプロ ーチ施策が軒並み打撃を受けた が、イベント等も感染状況の推 移を踏まえながら再開する動き がみられる。サロンビジネスで は、オンラインカウンセリング や接触の少ない施術を導入しつ つ、「おうち美容」「おこもり 美容」など、ユーザーのニーズ に合わせた多様なサービスも誕 生した。プロモーションでは、 動画配信などの手法も増えてお り、デジタルツールとこれまで 培ってきた対面販売のノウハウ を融合させる取組みが活発だ。