存在感増すリアルイベント

 新型コロナウイルス感染の第7波は、8月をピークにおさまりつつある。しかしながら、空気が乾燥し寒さが増してくるこれからの季節には、 さらなる感染拡大も懸念されており、油断は禁物だ。ダイレクトセリング化粧品分野では、新規ユーザーとの接点創出や、ブランド訴求の場として、 これまでリアルイベントを積極的に開催してきた。コロナ禍になり、リアル・デジタル双方を活用した施策が主流となっている。 一方で、実際に会うことのできるリアルイベントの効果は大きい。
 不特定多数が集まる大規模イベントは、このような社会情勢においては、開催については意見が分かれるところだ。 完全にオンライン開催にシフトしたケースもあれば、リアル・デジタル併催のケースもある。さらには、コロナ禍前から変わらず、 リアルイベントの開催を一貫して実施してきたケースもある。感染対策が強化され、ワクチン接種も進展している現在は、 コロナ禍初期とは事情が異なり、リアルイベントの開催に抵抗感を示す人も少なくなったことだろう。 コロナ禍初期は人と会うことすらままならぬ状況で、「困難な時期こそ人のつながりを」という想いで、全国大会を実施したケースもある。
 ワミレスコスメティックスは、2020年7月に創立40周年を迎えた老舗化粧品企業。2022年5月1日付で、瀬田実央氏が代表取締役社長に、 宮崎行一郎氏が代表取締役専務にそれぞれ就任し、新たな一歩を踏み出した。同社は、 リアルイベントの開催が困難だった2020年12月に都内ホテルで全国大会「出逢いと感謝の集い」を開催。実施には、 社内でもさまざまな意見があったというが、出来得る限りの最善を尽くすことで開催に踏み切った。参加者を例年の半分に制限し、 会場のソーシャルディスタンスを確保。次に、参加者全員に事前にPCR検査を実施してもらい、 陽性だった場合は参加を取りやめてもらう(検査費用はすべて主催者負担)。さらに、大会当日は入口で検温を行い、 検査結果を提示してもらった上で入場できるという措置を取った。参加者全員が陰性で、かつ十全な感染防止対策を講じることで、 節目の年の大会を開催した。結果としてクラスターの発生もなく、無事に終えることができ、参加者からも好評を博した。 気持ちがふさぎがちだった当時、リアルでの大会開催は、販売員の結束に大きく寄与した。
 コロナ禍は、一部では出口が見えたという声もあるが、依然として不透明で、楽観視することはできない。リアル・デジタル併用の流れは、 コロナ禍が収束した後も、ニューノーマル対応の施策として加速するとみられるが、リアルならではの一体感、 共感性はさらに存在感を示していくことだろう。