さらなる構造改革へ

    世の中の流れが「アフターコロナ」に向けて加速している。ダイレクトセリング化粧品最大手のポーラでは、コロナ禍の中で主力の委託販売チャネルにおいて、 厳しい状況が続いてきたが、生活様式や価値観の変化に合わせて、多様なニーズに柔軟に対応する姿勢を強めている。
 過去20年間の業界の動きを振り返ると、従来型訪販からサロン等の店舗を拠点とするビジネスモデルの浸透が何と言っても大きな変化であった。 業界の構造改革の一役を担ったのが、ポーラの「ポーラ・ザ・ビューティー」であるが、コロナ禍によって直接の対面カウンセリング・販売が難しくなったことに加え、 ユーザーの購買行動の変化したことで、店舗数を大幅に減らした。一方で、消費行動の変化を受けて、 ポーラにおいてもECやオンラインといったデジタル施策は堅調に推移しているようだ。現在、同社では店舗でSNSによる情報発信を行っており、フォロワー数を伸ばしている。 オンラインで直接つながる顧客リストを拡充し、新規獲得に寄与しているという。さらなる構造改革へ  これらの流れを推進すべく、4月18日から店舗やECなど、販売チャネルごとに保有していた顧客IDを共通化し、購入前の顧客も対象とした新たなサービスプログラム 「ポーラ プレミアム パス」を開始する。場所や販売チャネルを問わず、購入履歴や肌分析結果を確認することができる。顧客の気分、都合、価値観や、居住地域、悩み、 肌の状態に合わせて、個々人に寄り添ったサービス・接客を行うことが可能になる。販売チャネルを横断した顧客管理システムを導入することで、 顧客の生活環境やニーズの変化などにも柔軟に対応、新規の掘り起こしを進めるとともに、既存顧客の取りこぼしを防ぐことが狙いだ。リアル施策の活用も、 昨年辺りから再開しつつある。これまでにも、竹中工務店とのコラボレーションによる没入型アート体験や、ネイキッドとの共同企画によるデジタルアート体験 「DAKKO」を開催。また、東京・二子玉川に体験型店舗「POLA SQUARE FUTAKO」をオープン。 「生き方に美しさを見出す」をショップのコンセプトとしており、店舗内に置かれたさまざまな選択や体験をしていくことで、新たな自分の一面の発見や、 普段とは異なるスキンケアアイテムとの出会いを提供する。さらに、同社はジェンダーレス、ジェンダー平等といった近年の社会の動きを捉えた施策にも注力。 パーソナライズドブランド「アペックス」では、男性(自認を含む)の肌分析体験人数が昨年の時点で1万人を超え、幅広い年代層から関心を持たれている模様。
 コロナ禍を経て変化したニーズへ積極的なアプローチを行い、さらなる構造改革へ模索を続けている。