アムウェイが是正策、カギ握る「紹介カード」

    特定商取引法違反による処分期間を終えて新規勧誘、契約締結業務を再開した日本アムウェイが従来のルールを大きく見直し、 自主規制の強化を図った。処分で認定された違法行為の排除等を目的に、会員による説明の前に被勧誘者の同意をオンラインで得る手続きや、 入会の形式を愛用会員に限り、最低20日経過しないとビジネス会員に移行できない仕組みを導入。今後は、 これら取り組みが再発防止にどれだけの効果をあげるのかが問われてくる。
 通常業務を再開した4月14日、同社は「新アムウェイ登録制度」と呼ぶルールの運用を開始。従来の勧誘・登録プロセスとの違いは、 被勧誘者に対する「アムウェイご紹介カード」の提示と説明を受けることへの同意の取得、「プライムカスタマー」 限定の申込の受付と登録から20日以上経過後の「ABO」移行、会社による概要書面の直接送付などとなる。
 このうち「アムウェイご紹介カード」は、処分で認定された勧誘目的等不明示、 公衆の出入りする場所以外の場所での勧誘という2つの違法行為の再発を防ぐ上で重要なカギを握る。
 カードは、スマートフォン等で表示するデジタル形式で、そのシェアリンクをSNSや電子メールなどで被勧誘者に送信。 リンクを辿ってカードにアクセスしてもらい、会員から製品等について説明を受けることの同意欄へのチェックと、 被勧誘者自身の氏名の入力を行ってもらう。同意を得たことの確実性・証拠性を高めるため、紙媒体のカードは採用していない (会員の強い要望がある場合は紙のカードも提供)。
 例えば、電話で「いい話がある」としか告げずにアポイントを取り、会った際に連鎖販売登録を勧誘すれば、目的不明示違反に抵触し得る。 その勧誘の場が公衆の出入りのないスペースなら、刑事罰の可能性まで浮上してくる。
 このようなリスクを排除するには、電話の段階で「アムウェイご紹介カード」のシェアリンクを送信し、 同意を得た上で約束した日に会うといった手続きがベターとなってくるはずだろう。対面したその場で、 説明を始める直前にカードを介して同意を得ようとしても、「そのような目的であれば来なかったのに……」といった反応を生じかねない。
 昨年の処分では、SNSでつながり、女子会と称する食事会を口実に呼び出した被勧誘者に対して、食後に突然、勧誘を始めたという事例が含まれた。 これも、食事を始める前までに目的を明らかにしていなかった点を不明示と認定されている。新ルールの浸透を図る際は、 「アムウェイご紹介カード」をどのタイミングで活用するのが適切かという点も具体的に伝えていく必要があるのではないか。