接点多様化で利便性向上を

     新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが、2類から5類へ移行した。この3年間で、日常生活のあり方は大きく変わったが、 今後さまざまな分野で〝アフターコロナ〟へ向かっていくことが予想されるが、ダイレクトセリング化粧品分野においても、 リアル施策へ回帰する動きが強まっている。同時に、コロナ禍で増加した非接触型のサービスや、〝おうち美容〟など、 多様化したニーズやライフスタイルに合わせて、これまでより一層柔軟なビジネスモデルの構築が進められている。
 メーク品の使用は、コロナ禍で大きく影響を受けた事象といても過言ではない。マスク着用の影響などから、 リップなど一部アイテムの需要落ち込みがみられた。その一方で、目元を彩るメーク品は、 マスクで下半分が隠れた顔を演出する重要なアイテムとして人気が高まった。今後、マスクの有無がどう変化していくかは社会の情勢次第だが、 目元を演出できるアイテムは引き続き人気がある。ナリス化粧品では、ポイントメーキャップブランド「ヴィータ」から、 アイライナーとアイカラーセットの新アイテムを5月21日に発売する。ニューノーマル時代のメークを提案するブランドとして、2021年2月に誕生した 「ヴィータ」は、多様なラインナップに加え、手軽に利用できるフェースタイプチェック、オンラインバーチャルテスターなど新しい取り組みを盛り込んだ。 〝アフターコロナ〟におけるメークの需要がどうなるか、今後の動向が注目されるが、同社はニューノーマルにも対応したラインナップを展開し、 多様なニーズに応えていく。
 ポーラは、直近の2023年12月期第1四半期も増収増益に転じた。4月1日発売した引き締め泡乳液「B.Aミルク フォーム」は、 発売1カ月で7万個以上を販売し、好調に推移している。同アイテムは、これまでの乳液にはない「引き締め」という付加価値が、 コロナ禍でマスク着用が常用化した女性のスキンケア需要を捉えているという。7月1日には、シワ対応ブランドとして根強い支持がある 「リンクルショット」ブランドから、「リンクルショット デビューキット」を数量限定で発売。単品使いもできる「リンクルショット」は、 他のラインナップの購入につなげるフックアイテムとしての意味合いもある。さらに、リアル施策へ回帰する動きも目立つ。2022年11月には、 体験型店舗「POLA SQUARE FUTAKO」を東京・世田谷区にオープン。6月1日には、 広島県福山市にある化粧品専門店でポーラコーナーをオープンする。
 〝アフターコロナ〟では、一層多様化したニーズへの接点を、リアル・オンライン双方で構築し、利便性向上を図る動きが強まりそうだ。