需要多様化を追い風に

 1面で報じている通り、ダイレクトセリング化粧品市場は、高機能・高付加価値ブランドの投入・強化が相次いでいる。化粧品市場ではコスパ重視のアイテムと、高機能のハイブランドの二極化が進んでいる。 昨今は、こうした流れにジェンダーレスなどのトレンドが加わり、ますます多様化がみられるが、〝おうち美容〟などを追い風に、 美容に高い関心をもつコアユーザーへのアプローチする機会が増加したことも、ハイブランド強化の背景にあるみられる。
 ポーラは、コロナ禍において、SNSを活用した情報発信などによって顧客フォローを行ってきたが、販売チャネルを横断してIDを統一・管理する「ポーラプレミアムパス」 を導入したことで、チャネルごとのサービス体験の格差を解消するとともに、多様な接点でポーラに関心を示した顧客を多方向からフォローする取り組みを進めている。 主力の委託販売チャネルでは、ポーラ・ザ・ビューティーの店舗減少が顕著だが、その一方においてECチャネルなどはその規模を拡大し続けている。同社では、 体験型の店舗を出店するなど、リアルでの対面販売を重視しつつも、オンライン関連への投資も怠らない。国内では、新規顧客獲得に向けて、オンライン広告、 SNSをはじめとするデジタルツールを活用した情報発信を強化し、デジタルを中心に顧客接点の拡大を図る。商品政策では、「B.A」を基幹としたハイブランド強化を進めつつ、 ANAホールディングスとの共同プロジェクトから誕生した新スキンケアブランド「コスモロジー」を立ち上げるなど、新規マーケットの開拓を進めている。
 今期、ブランディングプロジェクトをスタートさせたシーボンは、直営店舗の改装を進めるとともに、 公式ホームページおよびユーチューブチャンネルでブランドウェブムービーを公開した。動画では、モデルの水野夏美さんを起用し、同社のスキンケアのコンセプトや、 トライアルプランを紹介している。フェイシャリストサロンでコアユーザーを獲得している同社は、ここ数年、新たな事業にも積極的な姿勢を示してきた。8月日付で閉鎖したものの、 結婚相談事業はユニークな取組みであった。また、サロンケア・自宅ケア双方に対応した〝2WAYスキンケア〟をコンセプトとした「C.ores(コアズ)」シリーズや、 若年層をメーンターゲットとした「シーボンパル」など、多様化が進む化粧品や美容へのニーズにも柔軟に対応する動きがみられる。ブランドウェブムービーでは、「スキンケアに、 新しいあたり前を。」をテーマとしており、老舗ブランドとして定着したイメージを踏襲しつつも、新たなブランディングによってマーケットの拡大を図る狙いだ。