多様化する顧客接点

 顧客接点の創出は、コロナ禍を経て変化を遂げてきた。現在、各社はリアルとデジタル双方を活用した、独自の手法による顧客接点の確保に注力している。
 ポーラでは、公式アプリを活用したフォローアップや、販売チャネルを横断した顧客IDの統一化など、デジタル技術を活用した接点創出に取り組んできた。 同時に、〝脱コロナ〟に向けた動きが社会全体で進む中、同社はリアル施策のテコ入れも行う。昨年、東京・世田谷に開設した体験型店舗 「POLA SQUARE FUTAKO」では、このほど体験コンテンツを一新、来店者の肌を占う「POLAのうらないお店」をオープンした。
 〝体験型〟というキャッチフレーズは、近年、ポーラがイベント等で積極的に用いているもので、リニューアルした店舗では、店舗内に置かれたさまざまな選択や体験をしていくことで、 新たな自分の一面の発見や、普段とは異なるスキンケアアイテムとの出会いを提供している。店内ではポーラのスキンケア品・メーク品・ボディケア品などのセルフでのお試しや購入もできる。 従来の体験型店舗やイベントでは、アイテムやお手入れを実際に試したり、スタッフからメークやスキンケアのアドバイスしてもらう、いわば実利重視の内容が多かったが、 前出の店舗では、ショップコンセプトである「生き方に美しさを見出す」が示すように、単なる美容ブースにとどまらず、多様化する価値観に対して柔軟にアプローチできるよう、 ポーラというブランドに対しても、さまざまな入り口を用意しているのが特徴的だ。
 ブランドとの接点という点では、ワミレスコスメティックスでは、選抜チーム「ワミレスラスティングビューティー(WLB)」による活動がユニークだ。 WLBは、長年にわたってさまざまなバックステージを担当しており、コロナ禍では活動が停滞していたが、徐々に再開の動きがみられる。ショーは、製品力を披露する場であると同時に、 美容チームの技術力を発揮する機会でもある。コロナ禍で大勢が集まるイベント開催が難しい中、ブランド訴求という点において有効な手段と言える。
 このほか、シーボンでは、SNSやアプリといったデジタルツールを活用した施策によって、顧客との接点確保を行うと同時に、 これまで訴求力が弱かった若年層へのアピールを強化している。若年向けの新ブランド「シーボンパル」では、ネットやSNSでの情報発信とともに、リアル体験イベントを開催。 一方、主力の「フェイシャリストサロン」では、その形態を都市・地域に区分し、エリアに合わせた内容へ改革を進めるとしている。さらに、新形態店舗の展開も計画しており、 リアル回帰の動きを強めている。