新しいサロンのあり方

  ダイレクトセリング化粧品市場は、高機能・高付加価値ブランドの投入・強化が相次いでいる。化粧品市場ではコスパ重視のアイテムと、 高機能のハイブランドの二極化が進んでいる。〝おうち美容〟やコロナ禍からの需要回復を追い風に、コアユーザーへのアプローチする機会が増加したことも、 ハイブランド強化の背景にある。
 9月18日に創立70周年を迎えたオッペン化粧品は、最高峰ブランド「アルティメイト」3品をリニューアルした。同シリーズは、 「創立60周年記念商品」として発売されたブランドで、「創立65周年記念」として、2018年に1回目のリニューアルを実施。今回は、 3代目「アルティメイト」となる。新「アルティメイト」では、最新技術から生まれた話題の成分「NMN」と「CELLAMENT」を配合した。〝時間の流れに挑む、 究極のスキンケア〟をコンセプトに、独自成分を配合したエイジングケアシリーズとして訴求していく。また、真珠由来の配合成分を強みとしている御木本製薬は、 ロングセラーのエイジングケアライン「ラフェリーナ」を、「ムーンパール」ブランドの最高峰エイジングケア「ムーンパール エクストラ」としてリニューアル。 「ムーンパール」は基幹ブランドで、ロングセラーの人気ラインを最高峰ブランドに位置づけて付加価値の向上を図っている。
 このほかにも、ポーラやナリス化粧品、ノエビアなど主要各社が高機能・高付加価値アイテムを積極的に投入している。コロナ禍を経て、 自分自身に積極的に投資する人が増加、美容面においても年齢・性別を問わずその傾向がみられるという。コロナ禍前と異なるのは、 そうした需要に対してどのようにアプローチしていくかということだ。例えば、最大手のポーラでは、主力の委託販売チャネルにおいて、 「ポーラ ザ ビューティー」をはじめとするショップ数の減少が顕著だ。2019年12月期第3四半期時点では、ショップ数が4014店舗だが、 今四半期では2727店舗と、1287店舗も数を減らした。委託販売チャネルの売上シェアは6割以上だが、コロナ禍に前に比べてその比率は低下している。 代わって、ECや、復調してきた百貨店チャネル等のシェアが上がってきており、消費者の購買行動が変化したことを伺わせる。
 ダイレクトセリング化粧品市場では、2000年代前半から従来型訪販からサロンビジネスへの転換が進み、浸透してきた。コロナ禍で直接の対面販売が困難になったが、 サロンでもデジタルツールを駆使したサービスが登場し、フォローアップにつなげてきた。サロンビジネスが本格的な転換期を迎えた現在、 新しいサロンのあり方が求められている。