リアル施策の転換期

 アフターコロナのダイレクトセリング化粧品市場では、社会の流れに合わせて、リアル施策へ回帰するトレンドが強まっている。その一方で、消費者の購買行動はECを併用する動きもあり、”リアルならでは”の訴求力が求められている。
 草創期からサロンビジネスを展開してきたワミレスコスメティックスは、コロナ禍の中でも全国大会をリアルで実施してきた数少ない企業の1社だ。「出逢いと感謝の集い」と題された大会は、販売員の活動をねぎらうとともに、新たな1年への決意を示す場でもある。コロナ禍の中では、多くの企業がイベント中止したり、オンライン開催に切り替える中、同社は参加者全員に検査キットを事前に送付するなど、リスクをコントロールしながら開催し、結束を固めた。昨年12月に開催された「出逢いと感謝の集い」では、2年近く続くロシアとの戦闘行為の中、現地で活動を続けるウクライナの仲間が参加し、日本の仲間に感謝の意を示すとともに、新興を深めた。
 ワミレスでは、前出の大会をはじめ、さまざまなリアル施策を実施しているが、その1つが、選抜美容チーム「ワミレスラスティングビューティー」(WLB)によるショー・イベントのバックステージサポートだ。WLBのメンバーに選ばれることは、販売員、特に若手にとっては憧れ、目標になっている。コロナ禍では活動が制約を受ける中、アナログ・デジタル双方で情報を発信し、モチベーション維持を図ってきた。活動も本格化しており、リアルならではの臨場感のあるステージで手腕を発揮することで、自分たちの日頃の活動成果を確認、ブランドへの自信につなげている。
 ポーラでは、メンバーシッププログラム「ポーラプレミアムパス」によって顧客IDを販売チャネル間で統一化、リアル・デジタル双方の接点確保を強化している。一方で、リアル施策では、デジタルでは味わえない体験型のイベントを定期的に開催し、ブランド訴求を行ってきた。また、ショーやイベントにおけるバックステージのサポートも行っている。昨年には、ファッションショー「UCF 2023 A/W COLLECTION」において、「フェアリージャパンPOLA」の美容コーチらがメークアップを担当。最高峰ブランド「B〓A」などのアイテムを使って、モデルを演出した。コロナ禍の中で、同社ではサロンやショップ網の縮小が続いており、ECからリアル店舗への誘導、ロイヤルユーザー化への導線創出が課題となっている。前出のリアル施策には、導線を補強する役割が期待される。
 シーボンでもサロンの大規模な変革に乗り出しており、各社でリアル施策のあり方を見直す動きが加速しそうだ。