「出逢いと感謝」の継承 創立40周年のワミレスコスメティックス 若手販売員の育成ものづくりの価値高め
▲若手世代の目標となるメイクサポート活動(写真は横浜で開催された着物ショー)
ワミレスコスメティックス(本社・横浜市港南区、瀬田浩一社長)は、今年で創立40周年を迎える。サロンビジネスの先駆けとして、地域密着型の事業を手掛けてきた老舗の
ダイレクトセリング化粧品企業では、長年の愛用者だけでなく、新規の愛用者、中でも若い世代からも根強い支持を集めている。同社では世代の偏りのない販売組織を構築しており、
老舗企業には共通課題とも言える「販売員の高齢化」についても対策を講じている。祖母、母、娘と3世代にわたってワミレスブランドを愛用するケースも珍しくない。
近年はグループシナジーを活かした施策や異業種とのコラボレーションに積極的な姿勢を示すほか、海外進出も
行っており、老舗化粧品ブランドとして新たな施策を打ち出している。
ワミレスコスメティックスが発行する広報誌「WINDS」は、年2回の発行を25年にわたって続けてきた。最新の第50号は、令和の始まりとともに作成されたもので、
瀬田浩一社長は冒頭のあいさつ文で創立50周年に触れ、「出逢いに支えられ、既成概念に囚われない挑戦を続けられてきたことに改めて感謝いたします。
そして、これからも真摯に『美しさの探求』に取り組んでいこうと思うのです。」と綴っている。「出逢い」と「感謝」というキーワードは、同社にとって特別な意味をもつ。
販売員の1年間の活動を表彰する全国大会も、「出逢いと感謝のつどい」という名称で毎年開催されている。また、広報誌「WINDS」では、
毎号の巻頭でさまざまな分野で活躍する人物との対談を掲載しており、これも「出逢い」と「感謝」がキーワードだ。
ちなみに、第50号のゲストは万葉研究の第一人者として知られる上野誠氏(奈良大学文学部教授)。
「出逢い」にはさまざまな意味が含まれるが、同社のビジネスの根幹を成す「ワミレスサロン」は、販売員と顧客の重要な接点となってきた。同社には長年の製品愛用者が多いが、
その背景にはサロンをベースとしたビジネスモデルによって、他社に先駆けて「見える化」を進めてきたことが指摘できる。地域ごとのサロンでのお手入れをはじめ、
各イベントで販売員が熱心に活動する施策は、今でこそ普遍的な取り組みとなったが、従来型訪販が優勢だった時代では珍しいものだった。
老舗企業では高齢化した販売員が子に事業を継承させるケースが増えており、同社でも散見される。ベテラン販売員の娘が事業を継承する場合が多いが、サロンという拠点があり、
自分の母がワミレスというビジネスで活動する姿を身近で見ることが出来る環境が整っていたことから、継承もスムーズに行われているという。
また、老舗企業では、販売員の高齢化が共通の課題となっているが、同社では、それぞれの世代にバランス良く販売員が分布しているのが特徴だ。若い世代の参加を促しているのは、
前出のサロンビジネスを軸とした「見える化」だが、教育システムによる美容スキルの向上・モチベーションの維持も挙げられる。
同社では、販売員登録時から美容知識・技術の習得・向上に必要なさまざまな講習・セミナーを用意し、サポートを行っている。
例えば、BA(ビューティーアドバイザー)やMA(メイクアップアドバイザー)を対象とした研修会などを定期的に開催している。瀬田社長自身によるセミナーをはじめ、実習、
デモンストレーションなど、サロンで顧客と接するために必要な知識・技術を継承する要と言える。
スキル高める活動グループシナジーも
また、他のダイレクトセリング化粧品企業が行っているように、同社も日頃の活動で培った技術の研鑽を競い合う美容大会も各地で開催している。加えて、販売組織の内側だけでなく、
外側でその腕を披露する機会も提供しており、同社の教育システムの大きなポイントとなっている。1995年から活動している「ワミレスラスティングビューティー(=WLB)」は、
販売員の中から優れた美容技術をもつ選抜メンバーで構成されたチーム。美容技術(社内資格のメイクアップアドバイザーを取得)、販売員としての売上、カウンセリング力等、
厳しい条件をクリアした限られた販売員が選抜され、これまでに、東京コレクションや東日本大震災復興支援チャリティーイベントなど、
数々のイベントのバックステージでモデルのメイクサポートを行ってきた。ヘアに関しては、ワミレスグループで都内を中心に複数店舗を展開する人気ヘアサロン「air」のスタイリストが担当し、
グループシナジーを活かした取り組みにもなっている。イベントでは、モデルの雰囲気や肌色、衣装等に合わせてイメージに最適なヘア・メイクを施し、バックステージでイベントをサポートする。
WLBのメンバーはイベントごとに選抜するエントリー制で、必要な人数に応じてチームを編成し、これまでにのべ数百人がチームメンバーとして活動してきた。メイクサポートを行うチームでありながら、
選考条件に販売員としての売上が盛り込まれているのは、基本はあくまでも化粧品を愛用者にお伝えする販売員であり、日常の活動(サロンワーク)と連動させていくことで、
周囲にもプラスの影響をもたらすという目的があるからだ。25年にわたって活動を続けているWLBは、若い販売員にとって大きな目標であると同時に、ワミレスブランドの信頼性を高める意味合いがある。
新しい取組みで記念イヤー盛り上げ
創立40周年という節目を迎える同社は、新しい取り組みにも積極的だ。特に、昨年9月にイタリア・ミラノで開催された第25回国際化粧品技術者会連盟(=IFSCC)中間大会で行った研究発表は、
化粧品メーカーとして世界で評価された出来事と言える。発表内容は、美容成分の肌への浸透性・送達性を追求した製剤化技術「カチオン化ベシクル」について。化粧品の肌への親和性を高める技術で、
人工臓器に使用される高い生体適合性と、ミネラルほか多種美容成分をカプセル内に内包可能で、安全性と有効性を兼ね備えているのが大きなポイント。同社が実施した有効性試験では、
同技術を用いたクリームは、従来品に比べて保湿の持続性、肌への浸透力ともに優れていることが分かった。創立40周年には、同技術を用いた化粧品を限定品として上梓したが、創立40周年の今年、
「ワミレス ザ シリーズ」に「カチオン化ベシクル」を導入して刷新する。メイクアップ化粧品のリニューアルも行う。
また、近年は教育制度強化の一環として、一定条件を満たした販売員向けの勉強会も定期的に開催している。少人数制(20人程度)の3カ月集中コースで、期間中は自身の活動を行いつつ、
勉強会で出される宿題もこなすため、かなり濃密な時間を過ごすことになるが、これまでにさまざまな地域からの参加があり、実績を挙げている。主にビジネスを始めて間もない販売員を対象としたものだが、
40周年を迎え今後販売員の世代交代が進むことが予想され、新世代の販売員育成が重要性を増している。
新型コロナウイルスの感染拡大によってコラボイベントなどの実施が懸念されるが、同社は7月の創立記念日から年後半のキャンペーンなどによって、40周年イヤーを盛り上げていく方針。