ダイレクトセリング化粧品 新規事業で基盤強化
老舗中心に広がる動き 長年のノウハウを活用

新規ユーザー獲得
狙うヘアケア事業
シーボンは、これまでも新規事業に進出する動きを見せてきた。2016年6月にはオーダーメイドウィッグの販売を開始しており、現在も継続している。同社の会員層は20代〜80代と幅広いが、メーンはミドル世代以上の女性。エイジングケアの悩みとニーズがこの年代にフォーカスしたウィッグ販売は、グループのヘアサロン「neaf」と連携し、会員1人1人に合わせたフルオーダーメイドの商品。素材・製法をはじめ、ナチュラルな仕上がりにこだわった高品質ウィッグを訴求している。販売・対応は、会員とのつながりをもつスタッフ(フェイシャリスト)がカウンセリングを行いながら実施。最終仕上げはヘアサロン「neaf」の現役美容師が行い、自分だけのナチュラルなウィッグ≠提供し、差別化を図っている。また、2021年9月には、結婚相談所「シーボン マリアージュサロン」を東京・六本木に開設。サロンでのケアや婚活コーチによる個別指導によるサポートで訴求したが、競合とのバッティングや、マッチンアプリへのニーズシフトなどを背景に業績が伸び悩んだ結果、2023年8月をもってブライダル事業から撤退した。前出のヘアケア事業は、ブライダル事業撤退後にスタートした新規事業。本業に比べればその規模は微々たるものだが、新規マーケット創出を図る姿勢は、他の老舗企業よりも強いが、その裏には本業縮小への危機感がある。
新ブランド展開
背景に訪販縮小
老舗企業ではありがちなことだが、既存の販売組織とのあつれきを懸念するあまり、新規事業に乗り出したくても躊躇するケースが散見される。それが新たな化粧品ブランドの立ち上げとなればなおさらだ。昭和18年に創業し、80年以上の社歴をもつ同社がここにきて新会社、新ブランドを立ち上げた背景には、やはり既存の販売組織の縮小という課題が挙げられる。一方で、販売員自身の購買行動自体が変化し、ECなどへの抵抗感が以前ほどなくなってきたこともある。これに加えて、業界全体の流れとして、主力の化粧品販売だけでなく、OEM・ODMの展開にも力を入れる動きもある。これは御木本製薬だけでなく、製造施設をもつ他の老舗化粧品企業にも同じ動きがみられ、例えば、数十年の社歴をもつ某中堅化粧品企業では、グループ売上の半分以上が既にOEM・ODMを占めるようになっている。「販売員の高齢化は避けられず、かといって新規の若い世代の販売員が入ってくるわけでもない。訪販部門の縮小はバブル期以降続いているが、今後はそれがさらに加速する。事業体としては、現在の資産(=製造施設)を活用して次のステップへの道筋を探るというのが順当」(中堅化粧品企業幹部)。
高齢者向けサービス
成長市場に参入
「ふれあ姫島」では、主にハンドセラピー・フェイシャルセラピー・フットケアセラピーを受けられるほか、メイクやネイル・アロマを楽しむことや、2024年3月から発売している超高齢者用スキンケア「モモテ」など、同社化粧品を試してから購入することが可能で、買い物に行く機会や化粧品を試す機会が少なくなった高齢者に、美容を楽しめる時間を提供している。超高齢化社会の現代、高齢者向けのサービスの需要は増加しており、特に健康寿命を伸ばすためのサービスは人気があり、成長が期待される分野だ。同社の「ビューティタッチセラピー」は、これまでも複数の高齢者施設で実施されてきたほか、自然災害の被災地でも被災者ケアの一環として行われてきた実績をもつ。
「ふれあ姫島」ではまた、美容だけではなく包括的高齢者運動トレーニング理論に基づいたリハビリ機器での機能訓練をすることも可能で、健康と若々しさを提供することで、高齢者の自信を取り戻す支援を行っている。「きれいになって動ける身体づくり」を目標に、常駐する理学療法士のサポートにより、CGT(包括的高齢者運動トレーニング)に基づいたマシンやトランポリン平行棒を用いたトレーニングを実施。トレーニング内容はすべてデータ管理し、初回利用時以降、3カ月ごとに個別機能の評価を実施している。測定項目は、「握力」「5回椅子立ち上がり速度」「TUG(3メートル先のコーンまで歩いて帰ってくるまでの速さを測定するもの)」など。約半年の通所利用者の81歳女性は、握力の増加(138%)に加え、15秒程度だったTUGが10秒を下回るようになった。また、78歳女性は5回の椅子の立ち上がり速度が40%まで短縮するなど、多数の著効例が出始めており、利用者のやる気のきっかけとなったり、前向きな目標となっているという。
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