「地域密着」と「次世代取込み」を考える

ローカル色≠ヘニーズを得るか



▲この時期の風物詩として地域に定着したオッペン化粧品の「ローズウィーク」
   老舗化粧品企業の多くが現在、販売員の高齢化という課題に直面している。この問題は20年以上も前から既に指摘されていたが、当時はまだ団塊世代の販売員が現役で活動しており、組織に活力があった。しかしながら、コロナ禍を機に直接対面での販売機会が減少するとともに、消費者の購買行動自体もEC寄りに変化。同時に、高度経済成長期から現場を支えてきたベテラン販売員が70代中盤に差しかかったことで、販売員の活動を休止・引退するケースが相次いでいる。企業によって温度差はあるものの、ベテランの引退に伴う営業力の低下は喫緊の課題だ。このため、新しい世代への訴求は、創業から数十年を経た老舗企業において、営業力強化のために不可欠であるとともに、ブランドイメージを刷新して次のステップ≠ヨ進むためにも重要なファクターとなっている。
 本紙5月15日号で報じた通り、老舗化粧品企業のオッペン化粧品(本社・大阪府吹田市、瀧川照章社長)では、毎年5月に本社敷地内のばら園を一般開放するイベント「ローズウィーク」を実施している。10年以上にわたって開催されてきたこのイベントは、地域の自治体や組織・団体とも連携を強め、現在ではこの時期の吹田市の風物詩として定着している。来場者は、近隣住民やばら愛好家がメーンだが、世代は幅広く、親子連れや、親と子、孫の3世代での来園も見かける。老舗化粧品ブランドというと、接点がとかく特定の世代に集中しがちだが、幅広い世代に認知してもらえるようなイベントを実施している企業もあり、オッペン化粧品の「ローズウィーク」もそのような位置づけとなっている。
 「ローズウィーク」がユニークなのは、企業単体で完結していない点だ。

(続きは2025年5月22日号参照)