ダイレクトセリング化粧品 成果試される1年に
リアル接点、どう活かす
組織高齢化問題≠ェ各社に影
ダイレクトセリング化粧品分野では、主要企業の多くが創業から数十年を経て堅固な市場を形成してきた。その一方で、新規参入の動きはみられず、老舗企業においても、販売員の高齢化に伴う営業力の低下が長年の課題となっている。しかしながら、視点を変えてみると、このビジネスの強みである「人と人のつながり」を活かした販売手法は、時代とともにそのあり方を変えながら受け入れられてきた。コロナ禍前まではサロンビジネスが最もメジャーなスタイルだったが、現在はそれにデジタルツールを組み合わせた手法が定着しつつある。市場環境は依然として厳しいが、老舗各社を中心に、次世代ビジネスモデルの構築に向けた動きが強まっている。
10年前の水準 未だ道遠く
グラフは、ダイレクトセリング化粧品4社(ポーラ、ノエビア、シーボン、アイビー化粧品)の過去10年における業績の推移を示したもの。グラフ1では、2015年〜2016年の決算期を起点とした売上推移を、グラフ2では、売上高営業利益率の推移を示した(ポーラはポーラ・オルビスHDビューティケァ事業におけるPOLAブランド、シーボンは2019年3月期以降は連結決算)。各社の売上高の推移をみてみると、起点となった2015年〜2016年の決算期の業績を直近業績で上回っているのは、ノエビアホールディングス(2024年9月期)のみで、他のポーラ、シーボン、アイビー化粧品は10年前の水準前まで戻っていない。
ノエビアを除く3社の売上高ピークは、ポーラが2018年12月期、シーボンが2018年3月期、アイビー化粧品が2017年3月期となっており、いずれもコロナ禍前。ポーラでは、前年に発売した「リンクルショット メディカルセラム」を値下げして新規ユーザーに訴求したほか、美白ブランド「ホワイトショット」の刷新、「B.A」のメークアップライン投入など攻勢を強めた。また、インバウンド需要についても減速傾向があったものの、売上の10%程度を占めて貢献しており、同期で9期連続の増収を達成した。シーボンでは、イベントでのブランド体験が奏功したほか、アイビー化粧品では創業40周年のタイミングで発売した「レッドパワーセラム」が起爆剤となり、創業来初めて上代売上が200億円を突破した。ノエビアにおいても売上を順調に伸ばしていたが、コロナ禍によって状況は一変した。