啓発強化、PIO情報を分析・研究 訪販協の2025年度事業

「悪質商法とは全く別」、データから浮き彫りに
デジタル登録証開始、社会・経済インパクト調査も



▲一昨年より検討・準備を進めていた「JDSA教育登録制度」の登録証のデジタル化は、25年度中のスタートを予定(写真は紙媒体の登録証の見本)
 日本訪問販売協会(事務局・東京都新宿区、中陽次会長)は2025年度事業において、PIO―NETの苦情相談を詳細に分析・研究することで、悪質商法≠ニ会員企業の違いを浮き彫りにするデータを取得し、消費者および事業者に対する啓発強化に役立てることを目指す。会員企業による取り扱いがなく、苦情相談件数が多い商品・役務を中心に分析する。懸案だった販売員教育制度の登録証デジタル化は年度内にスタート。WFDSAの要請を受け、ダイレクトセリングが社会・経済にもたらしている効果の「インパクト調査」にも着手する。
 

上位の修理・工事・投資系に注目

   日本訪問販売協会は毎年度の事業計画において、力を入れる取り組みの筆頭に自主規制の普及啓発を据えてきた。
 まず、消費者の利益保護、訪問販売の健全発展を目的とした基本的事項となる倫理綱領。これを具体化した自主行動基準を訪問販売と連鎖販売取引で定めている。各基準は細則として、商品別禁止事項、過量販売にかかる「通常、過量には当たらないと考えられる分量の目安」、違反行為に対する措置などをもつ。
 他方、協会に加盟せず、特定商取引法等の関連法規も無視して悪質商法≠繰り返すアウトサイダーとの差別化に苦慮してきた。悪質商法≠ニ同一視されがちな長年の状況を打開する手立ての一つとして、25年度事業では、PIO―NETに含まれる訪問販売および連鎖販売取引関連の苦情相談情報を「より詳細に分析・研究」し、消費者と事業者への啓発強化に役立てることを目指す。
 分析・研究の優先候補となるのは、会員企業の取り扱いがみられず、PIO―NETで苦情相談件数が多い商品・役務だ。
 国民生活センターがまとめたPIO―NETの訪問販売苦情相談件数は、23年度が7万4820件で、前年度比は4788件の増加。22年度(7万32件)は過去20年で最少だったところ、約5000件弱増えた。  協会事務局は、苦情相談の上位の商品・役務が、所謂レスキュー商法≠竍点検商法≠ナ多い「修理サービス」系、「屋根工事」系である点に注目。連鎖販売取引を含む「マルチ取引」の23年度は、ワースト3の1〜2位が健康食品と化粧品だった一方、3位は「ファンド型投資商品」だった。同年度の件数は前年度比25%減の5136件。過去20年間で最少となり、訪問販売以上に減少傾向が明らかとなっている。

連鎖での商材制限
結果次第で再検討も

 協会事務局は、苦情相談の上位の商材が、会員企業の商材と重ならない状況もあって、会員企業の間で「このようなものを売っていては、あまりにも社会的に問題ではないか」という意識があることを説明。

(続きは2025年7月10日号参照)