JEOの「エステJIS」(仮称)健全化策の有効性は

消費者トラブル対策となるか
制度運用のカギは「認知度」



 美容意識の高まりから潜在ニーズも多いエステティックサービスだが、消費者トラブルの未然防止・相談件数の減少が長年の課題となっている。昨今では、脱毛サロンの返金や倒産に関わる相談や、HIFU(高密度焦点式超音波療法)による事故が多発しており、業界では健全化に向けた取り組みが急務となっている。エステティック業界の第三者機関である日本エステティック機構(所在地・東京都千代田区、福士政広理事長、略称・JEO)では、2023年度から「エステティックJIS」(仮称)の策定に向けた活動を行っており、2026年の導入を目指している。JISという標準規格の導入で、従来の健全化策に実効性をもたせる狙いだ。
 

脱毛サロンの破綻が問題化

  脱毛サロンの破綻が問題化  エステティックサービスに関わる相談件数(PIO―NET)は、昨今急増している。過去の相談件数をみると、2016年度が7019件、2017年度が8687件、2018年度が6441件、2019年度が6222件、2020年度が5825件、2021年度が6969件と、概ね5000〜8000件の間で推移してきた。しかし、2022年度は2万2323件と大幅に跳ね上がり、2023年度は1万504件と減少したものの、1万件を超える相談が寄せられている。これは、脱毛サロンの倒産やそれに伴う返金といった相談が全国の消費生活センターに寄せられたことによる。直近においても、大手脱毛サロンの破綻が発生し、社会問題化するなど、依然として消費者トラブルは高止まりしている状況にある。エステティックサービスにおいて、契約・解約に関わる問題や、施術上における危害といったトラブルは、業界として解決しなければ問題として認知されてきた。しかしながら、前受金制度に伴う問題や、異業種参入によるいわゆるアウトサイダー問題など、抜本的解決が図られないまま現在に至っているのが実情だ。
 業界団体側も手をこまねいているわけではなく、ネガティブなイメージの払拭のための活動は続けている。

(続きは2025年7月17日号参照)