宅配水・サーバー業界 市場トレンドに新たな動き

「浄水器形サーバー」が台頭
2024年度は百万台を突破



 宅配水・サーバー市場は、友人・知人による紹介やクチコミ、職域での訪販、さらには商業施設での試飲体験などさまざまなアプローチで市場を拡大してきた。特に、近年は自然災害や水への安全性への意識の高まりもあり、それまで主要ユーザーであった健康や美容に関心をもつ層だけでなく、一般のユーザーにも間口を広げつつある。メーン商材としては、天然水やRO水のボトルをサーバーに設置して使用するタイプで、それら市場のほとんどを占有しているが、ここ数年は新たに浄水器形のウォーターサーバーも登場している。ライフスタイルの変化や物価高騰などさまざまな要因を背景に、求められるアイテムにも変化がみられるようになってきている。
 

安全・美味しさ求め需要拡大

   日本では、長らく”水は無料(タダ)”という感覚が根強かったが、2000年代以降はそのような価値観にも変化がみられるようになってきた。特に、2011年3月の東日本大震災とそれに伴う原発事故は、水に対する安全意識の高まりをもたらした。関連事業者が加盟する一般社団法人日本宅配水&サーバー協会の統計調査によると、近年の市場規模は、2019年度が1560億円(前年度比1.2%増)、2020年度が1722億6000万円(同10.4%増)、2021年度が1816億円(同5.4%増)、2022度年が1951億円(同7.4%増)、2023年度が1822億5000万円(同6.6%減)、2024年度が1976億円(同8.4%増と、概ね右肩上がりで成長している。当初はボトルをリユースする「リターナブル方式」が市場を占有していたが、2010年ごろから1回使い切りボトルの「ワンウェイ方式(OW)」、水が入ったボトルから直接水を利用する「バックインボックス(BIB)」タイプの製品が登場。「リターナブル方式」は2013年以降ほぼ横ばいで推移しているのに対し、「OW・BIB」は拡大傾向にあり、2018年には「リターナブル方式」を抜いてメーン製品となっている。OW方式は、手軽さや衛生面で管理しやすく、BIB方式は開封後も水を長期間衛生的に保つことができるよう設計されており、どちらもユーザーが扱いやすい特徴がある。

投入相次ぐ浄水型サーバー

 2023年ごろから新たな製品として、「浄水器形ウォーターサーバー」が台頭し、注目を集めている。
 

(続きは2025年8月7日号参照)