国センまとめ・2024年度の「PIO―NET」苦情件数

訪販5%増、点検商法が押し上げ
マルチは最少、副業系苦情「移動」か



 国民生活センターが8月6日までにまとめた「PIO―NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)」における2024年度の消費生活相談情報の集計データ(25年5月末までの入力分、苦情のみ、グラフ参照)によると、件数は訪問販売で増やした一方、マルチ取引で減らした。訪問販売は、所謂レスキュー商法による商品・役務に関するトラブルの増加が反映された。マルチ取引は、ほとんどの商品・役務で件数を減らした。相談者の年代は例年同様、訪問販売で高齢者、マルチ取引で若者に集中する傾向が見られたが、マルチの若者構成比は減少傾向が続く。

 

レスキュー商法関連、依然多く

 販売購入形態別の件数は、訪問販売が前年度比で5・7%増の7万9342件。14年度以降の過去10年間は、22年度(7万49件)が最低。これを底に2年連続で増やした。
 なお、訪問販売に含まれるアポイントメントセールス、SF商法、キャッチセールスを除いた「家庭訪販」としての件数は5万5000件で、前年度比は9・7%増。こちらも2年連続増だった。
 訪問販売の商品・役務の件数上位3品目は、(1)修理サービスが8742件で3・2%増(2)屋根工事が6341件で23・8%減(3)新聞が4377件で16・9%減。増加した(1)はレスキュー商法に関わる苦情が多く、トイレ修理や水漏れ・排管などの詰まり修理などが含まれる。
 4位〜10位で増加したのは、他の役務サービスが4330件で44・9%増、電気が3241件で35・5%増、他の衛生駆除サービスが2046件で24・3%増、衛生設備工事が2011件で12・0%増。レスキュー商法のほか、所謂点検商法に多い商品・役務で増加が見られた。
 点検商法に関わる苦情は1万9215件。前年度比は53・1%増となった。同商法の商品・役務には、訪問販売でも多かった修理サービス、他の役務サービス、害虫駆除サービスなどが含まれ、訪問販売の苦情相談が点検商法によって押し上げられていた。

WEB・SNSの広告がきっかけに

 マルチ取引は20・1%減の4117件。過去10年間の最少を更新した。ピークだった07年度(2万4332件)との比較は約83%の減少。

(続きは2025年9月25日号参照)