Voice of Field 団体活動通じて接した業界の矛盾

当時感じた「連鎖販売は二の次」


 ダイレクトセリング市場に精通する業界人に、現場の過去・現在・未来を語ってもらうシリーズ「Voice of Field」。今回は、MLM業界歴20年以上のZ氏(匿名)の寄稿をお送りする。
 
 私は連鎖販売取引の会社で長く(二十年以上)コンプライアンスを担当し、業界の改善のために様々に取り組んできました。然るに、勤めていました会社が数年前にトラブルがあって解散してしまいました。今は業界から少し離れていますが、業界回想の記事を書いてみようと思います。
 業界でのこれまでを振り返って、まず思い出されることが、ダイレクトセリング系のある業界団体の活動に参加したことです。様々な部会や会合で、団体の職員や他社の社員と意見を交わすことができました。
 時に有意義な知見を得ることができた一方で、団体の活動を通して業界の抱える矛盾のようなものに接し、憤りを覚えたことも幾度かありました。
 私の記憶では、業界団体の役員はすべて大手の会社がなっていました。言ってみれば、業界大手の仲間の内輪的な集まりという側面があったように思います。
 団体のある職員の方は、団体での私の活動を評価してくれてか、何かの役職か役回りを用意しましょうか?と仰有ってくれた事もありましたが、結果的にはそれは実現しませんでした。
 やはり、業界団体とは大手企業中心で事が進められて行くのでしょう。総会も大抵、無風でしゃんしゃんで終っていたように記憶しています。
 そんな状態はあまりいいものでない事であると私は信じていました。そこで、コンプライアンス担当となってからは、一貫して総会で毎回発言を続けて参りました。各種会合でも積極的に発言し、動いて来ました。
 そこで思い出されますのは、お役所から団体の公益化を検討しないかという提案が行われ、団体の再編が促されていた時の事です。
 団体から会員会社に対して、ヒアリングをするので参加して欲しいとの要請があり、私も参加する事と致しました。あれは団体の近くにあるホテルでの会合でありました。十社程度の会社のベテランの担当者が参加していたと思います。

(続きは2025年10月16日号参照)