浄水器等の水関連市場動向 多様化する消費者需要に対応

ウォーターサーバーの台頭 ライフスタイルの変化背景に



 水に対する消費者の安全意識やさまざまな機能性を求めるニーズは、年々高まっている。1990年代からミネラルウォーターのペットボトルの販売が本格化したことで、水道水以外の水を購入する≠ニいう価値観が広がり、それに合わせてさまざまな水関連の商品が流通するようになってきた。現在では、水道水をより安全に利用するだけでなく、機能性を付加する機器に加え、手軽さを訴求するウォーターサーバーや宅配水、ペットボトルタイプのミネラルウォーターは、災害対応といった普遍的な需要から、健康・美容関連分野まで浸透している。ダイレクトセリング業界においても、水関連製品は主要商材の1つと言える。
 

注目される浄水サーバー

 水関連製品の中でも、近年そのシェアを拡大しているのが宅配水・ウォーターサーバー分野だ。メーン商材としては、天然水やRO水のボトルをサーバーに設置して使用するタイプだが、この1〜2年の間に、新たに浄水器形のウォーターサーバーが登場し、台頭している。市場関係者の中には、「将来的には多くの宅配水が浄水器形のウォーターサーバーに置き換わっていくのではないか」(宅配水取扱事業者)という見方もあり、新たな潮流として注目されている。宅配水&サーバー協会がまとめた統計調査(グラフ1)によると、同市場は、2007年度は280億円程度だったのが、2011年度には910億円、翌年の2012年度には1000億円を突破した。これは、2011年3月に発生した東日本大震災に伴う原発事故の影響で、水に対する安全意識が急速に高まったことによる。特に、子育て世代のウォーターサーバー需要はこの年を契機に増加し、利用者の入れ替わりはあるものの、その後も堅調に推移。当初は、ボトルをリユースする「リターナブル方式」が中心だったが、2010年ごろから1回使い切りボトルの「ワンウェイ方式(OW)」、水が入ったボトルから直接水を利用する「バックインボックス(BIB)」タイプの製品が登場。「リターナブル方式」は2013年以降横ばいで推移しているのに対し、「OW・BIB」は拡大が続き、2018年には「リターナブル方式」を抜いてメーン製品となった。
 2020年以降も、コロナ禍や地震、豪雨などさまざまな自然災害への備えに対する意識の高まりを受けて市場は拡大基調にあり、直近の2024年度は1976億7700万円と、2000億円規模となっている。最近の特徴としては、東日本大震災などの災害をきっかけに宅配水・ウォーターサーバーの利用を始めたユーザーの子ども世代が新たに契約し、自身の子どもたちの健康のために契約する事例が散見されるという。こうした傾向は、後述する浄水器分野にもみられるもので、幼い頃から自分の家にあった製品を、独立した後も使い続ける若い世代も少なくないようだ。

(続きは2025年10月23日号参照)